長くぶどうでお世話になっている松崎さんも85歳。
8月のメインを何にするか。
そんな会議をした後、途端に不安になり、思い余って、ノープランで長野に来た。
もっと計画的に動きたいものだけれども。
レンタカーを駐車できるスペースを見つけ、一本電話してみる。
「あ、今、平林さん、上田にいらっしゃいますか?」
「あ、いますよ。ちょうどごはん食べてるとこです。」
「この後、お会いできますか?」
「え、大森さん、上田にいるんですか?」
「はい。」
平林さんは、松崎さんの次女さんのお婿さん。
東京出身で、東京で勤めていたけれど、上田へIターン。
ぶどうを育てている。
松崎さんのハウスぶどうが、8月上旬から始まるところ、平林さんのぶどうは、1か月以上遅れて9月中旬くらいからナガノパープルが始まる。
畑は主に二か所に分かれている。
まあまあ平場の畑と、山の上の畑。
平場の畑は、一般的なぶどう棚で栽培し、山の上は、横に這わせる方法をとっている。
ほどなくして、平林さんと合流。
「畑、見に行きますか?」
「突然来て、すみません!でも、良いですか?」
繰り返しになるが、ノープランで上田に来ている。

先ずは、まあまあ平場の方のぶどう畑。
きれいに草も刈られ、枝も整っている。
畑に入ると、極めて明るいことに気づく。
「あ、分かります?」
副梢を強めにとることで、生い茂る葉を間引きし、陽当たりを良くするようにするのと、枝の生長ではなく、果実に栄養が行くように調整するらしい。
「でも、光合成するのは葉っぱですよね?取り過ぎると良くないんじゃないですか?」
「いや、これで十分です。だって、葉っぱだって、重なって生っていたら、光合成しきれじゃないですか?」
「なるほど。」
土づくりは良く言われることだけれど、剪定、あるいは整枝と言った技術は、農家さんの腕の見せ所だと思う。

ナガノパープル、シャインマスカット、クイーンルージュ、サニールージュが植えてある。
ナガノパープルは、皮ごと食べられる黒ぶどう。
皮が薄いため、雨や水分が少し入り過ぎるだけで裂果してしまう。
ただ、この圃場のナガノパープルは割れない。
「なんでかは良く分からないんですけど、他の人と一番違うのは、この副梢の部分なので、理由の一つだと思いますね。」
Iターンし、ぶどうに従事して10年になると言う平林さん。
当時、畑を走り回っていたお子さんたちも、すでに大学を卒業し、社会人。
時が経つのは本当に早い。
「山の畑も見ますか?」
「はい!」