松屋銀座での勤務を終えて、東京駅に向かうと、雨脚はどんどん強くなっていった。
昼頃には、台風15号は温帯低気圧になったと報道があったから、少し油断していたかもしれない。
久しぶりに滝のような雨に打たれ、靴は中までびしょ濡れになった。
最寄りの駅に着くと、嘘のように雨は降っておらず、東京駅周辺の雨が、例のごとく、局所的な雨だったと認識した。
温帯低気圧になった、という報道とほぼ同時進行で、静岡の浜松市、磐田市、掛川市、袋井市で、”緊急安全確保”なる勧告が出されていた。
社内のスタッフさんからも質問が相次いだ。
「〇〇さんとこ、大丈夫なんですか?」
「あそこは標高も高いから大丈夫。地盤しっかりしている。」
「〇〇さんとこは?」
「…。あんまり良くないかも。」
さつまいものシルクスイートを食べながら、不安に思った。
浜松も磐田も、天竜川の両岸が水に弱い。
川幅も大きくとってあるし、堤防も築かれているので、あまりピンとこなかったけれど、昔から天竜川の氾濫が多い地域だったそうだ。
「ここいらは地盤が良いから地震は怖くないけど、洪水は怖いよね。」と、今年5月に訪れた時にもホワイトアスパラの生産者である上村さんが口にしていた。
滝のような雨の中、アスファルトの水かさが増えていくのを見た後だったので、思い出して少し不安になった。