「今がら山さ行ぐの? 止めた方が良いんでね?」
そう忠告を受けるほど、突然の豪雨だった。
従来、晴れ男なのだが、最近はめっきり…。
弘前の住宅街を抜け、岩城山麓へ向かう。
雨は降ったり止んだり。
先日、千葉を襲ったレベル5の雨を経験している。
ワイパーが追い付かない、あの雨量とは違った(あれ?運転してたっけ?)。
命を守る行動はしなくてはと思いつつ。
今をときめく嶽高原は、津軽の名峰 岩木山の裾野にある。
標高400~450mと言われるから、さほど高いわけではない。
ただ、山の頂上から冷たい空気が流れ込み、標高以上に涼しく水も冷たい。
そのため、稲作が難しく、もっぱら酪農に従事する方が多い地域だったと言う。
嶽きみロードと呼ばれる一本道を雨中、対向車にドキドキしながら運転。
両脇に、“嶽きみ”ののれんがたなびいている。
嶽きみは、地域団体商標にも登録されている、ブランドとうもろこしだ。
嶽高原で育つ、“きみ”こと、とうもろこしのこと。
津軽では、“きび”を“きみ”と呼ぶ。
生産者の佐藤さんが栽培を始めた頃は、まだ5件ほどしかとうもろこし農家はいなかったという。
大ヒットした今では、15件ほどの農家さんがとうもろこし栽培に従事していると言う。
週末になると、この気持ちの良い道路が、大渋滞を起こし、午前中で完売してしまうこともしばしばなんだとか。
気持ち、雨が弱くなったころ、大通りから少し右に入ったところに、佐藤さんのご自宅 兼 農場の本拠地に着いた。
正直、久しぶりの訪問で、記憶があいまい。
ぐるっと一周してから、入り口に車を停めた。
中の、倉庫というか作業場に、大柄な、一見、熊のように体格の良い男性が見える。
…佐藤さんじゃない。佐藤さんじゃないけれど、見たことがあるような…。
雨は止まない。
思い切って、車を降り、突っ込むことにした。
「すみません、りょくけんの大森と申します!」