甲府盆地は、典型的な盆地で、山に囲まれ、夏は暑く冬は寒い。
一日の寒暖差も大きい。
それゆえの、くだもの王国である。
くだものの良い畑の三条件は、
一、陽当たり
一、水はけ
一、昼夜の寒暖差
である。
植物は太陽の光に当たることによって葉で光合成し、栄養分を生む。
したがって、陽当たりが良い方が、当然、光合成が活発となる。
水はけが良い方が糖度は上がりやすい。
雨が多い産地や時期は、水っぽくなって、濃いくだものは生まれない。
また、永田農法的であるが、水分が足りなくなることで、「死んじゃうかも。」と親である樹が思うことで、子孫を残そうとする。
すなわち、種だったり、その周りの子房つまり、果実を充実させようとする。
だから、果実に栄養が行き、甘みを増す。
およそ、現代日本で食べられているくだものの原生地は、砂漠だったり、乾燥した場所が多い。
察するに、植物は、子孫を残すため、種がより遠くに、広範囲に行き渡ることを企図したんだと思う。
そのため、動物などに食べられやすくするために、美味しくなった。
逆に言えば、まずかったものは動物には食べられず、広範囲には広がらず、美味しいから食され、生き残ったとも言えるだろう。
もう一つの条件は、昼夜の寒暖差だ。
昼間に暖かく、光合成を活発にして、栄養をため込む。
夜がそのまま暖かいと、呼吸にエネルギーが使われ、栄養が消費されてしまう。
が、夜が涼しければ、植物も眠りにつき、呼吸が穏やかになり、栄養を消費せずに済む。
昼が暑く、夜が涼しければ、光合成されてできた栄養をため込むことが出来るわけである。
こういった条件を満たすのが、南西向きの山の斜面(りょくけんのみかんやりんごの産地はほとんどこのパターン)。
もう一つが、扇状地である。
川と川に挟まれた三角州は、古代の文明の必須条件。
チグリス・ユーフラテス川に育まれたメソポタミア文明が分かりやすいか。
そのような好条件が、この甲府盆地にもある。
笛吹川と重川(おもかわ)に挟まれた、典型的な三角州、大野である。
桃の一等地とされる春日居(かすがい)や旧加納岩と隣接する、あるいはかぶる地域だ。
豊かな地であった証拠に、縄文時代の土器などが多数、出土するらしい。
日本の古代文明は、文字を残さなかったために、その全貌を窺い知るのが難しいが、古代人が住んでいたということは、食物が豊富だったことを示す。
樹木が豊富だったのか、その後、開墾して、稲がよく育ったのか。
とにかく、古代人が気に入って住んだ地域なのだ。
そして川の周りであるため、小石が地盤には多く、水はけが抜群。
山々から少し離れているため、光を遮るものがない。
盆地の底に位置するため、昼夜の気温差も高い。
全国的な知名度がないのは、春日居よりも狭く、凝縮した産地のため、生産量が少ないためか。
そして、この地で、長らく桃を育て、りょくけんにも譲ってくださっているのが、雨宮さんである。