「誕生日おめでとう~」
早朝5時頃、出社する妻が、プレゼントを置いてってくれた。
ありがたいものである。
私も6時ごろ、のそのそっと起きて、白湯を沸かし、飲んで、用を足して、朝食を軽く済ました。
「今日は水曜日だから、ごみの日か。」
ごみ箱からすっとごみ袋を上に取り出したところ、左の背中の腰に衝撃が走った。
ーピリピリと痛い。
でも、今まで感じたことのない痛さ、というわけでもない。
そのうちおさまるだろう、と両手にごみ袋を持って、家を出た。
ーおさまらない。
電車に乗って、途中の駅から着席できたものの、なお一層痛い。
いや、角度というか、姿勢によるのか。
直立不動、姿勢よくしていれば痛くない…ような…。
電車を降り、店に向かうが、痛みはひかない。
むしろ、左の脚に広がっていくような…。
「寝坊したので遅れます。」
他のスタッフさんからメールで連絡があった。
厨房は3名体制。
仮に私がいなくなると、先に入って焼き場を回しているスタッフさん一人になってしまう。
それは避けねば。
店に着き、とりあえず、持ち場である厨房でひとしきり働く。
が、口に出さずにはいられない。
「腰が、、、腰が痛い…。」
「え~! もう、帰ってください!」と焼き場のスタッフさん。
冗談とも、本気ともとれるような…。
作業はまだまだいっぱいある。
とりあえず、私は頑張ることにした。
遅れていたスタッフさんも到着。
でも、腰は痛い。
左足がしびれる。
なんとかオープンを迎えた11時ごろ。
他のスタッフさんに促され、病院へ。
「もう良いですから、行ってください!」
2時間くらい前と比べると、痛みも少し引いたような…。
でも不安なので、病院に行って、はっきりさせたい。
同じ3丁目に、リハビリ整形外科があり、その門を叩いた。
予約のあるお客様が優先で、1時間半くらい待つことを了承させられた。
何しろ、座っていても痛い。
痛みが体勢に因ることもだんだん分かったので、できるだけ、直立、姿勢を正して座った。
眠いのだけれど、眠る体勢にはなれない…。
果たして1時間ほどで、私の名前が呼ばれ、診察、そしてレントゲン撮影。
撮影されたレントゲン写真で、骨に異常はなく、ヘルニアではない、とのこと。
「筋肉性の腰痛ですね。」と診断された。
リハビリエリアで、たぶん電気を流し、湿布を貼っていただき、コルセットを巻いていただいた。
「ところで、、、これは“ぎっくり腰”じゃないですよね?」
なんの気なしに、処置してくださった看護師の方に聞いた。
「先生はなんて仰ったんですか?」
「え。筋肉性の腰痛です、って…。」
「あ、ぎっくり腰ですね、それ。原因不明の急性腰痛、俗に言う“ぎっくり腰”です。」
「…。」
コルセットを腰に巻いてもらったことで、腰回りの安定感が爆上がりしたが、ぎっくり腰と聞いて、テンションが下がった。
すごく年を取った気分…。
いや、間違いなく、今日、年を取ったのだけれども。
「これからまたお店ですか?」
「え、あ、はい。先生から絶対安静!と言われたら帰れと言われているんですが、そうでもなかったですし…。」
とぼとぼとお店に舞い戻った。
「ーー急性腰痛、通称:ぎっくり腰だった。」と報告すると、なんとなくみんな笑みが浮かぶ。
「誕生日に、コルセットもらったよ…!」
「社長、無理もないです、今日8連勤目、マルシェも行ってます。働きすぎなんですよ!今日はいい加減、帰ってください。私たちやりますから!」
有難い限りである。
そう言われてみれば、良く働いている。
週末は、厨房7時半から勤務した後、売場に上がって、レジ締めまで行った。
いわゆる通し勤務。
翌日は、勝どきで、マルシェに参加。
ジュース中心で参加したから、販売はもちろんだけれど、搬入搬出もけっこう大変だった。
営業時間中は立ちっぱなしだった。
次の日は5時に起きて、日本代表を応援。
エネルギーをもらった後、事務所で働いた。
ショックな報告もあったからなあ。
そして次の日は、二子玉川のマルシェ。
これまた一日立ちっぱなしで、搬入搬出もそこそこ大変だった。
思い返してみて、至極納得が行った。
切りが良いところまで、切り出しと仕込みを済ませ、後はスタッフさんたちに託した。
体を休ませねばならない。
自宅に帰り、風呂を沸かし、入浴した後、やっと横になり、休んだ。
ほぼほぼ痛みが治まり、今さらだが、ぎっくり腰について調べてみた。
・原因は良く分かっていない。
・繰り返し起こる場合は、骨に異常があり、椎間板ヘルニアなどが考えられ、手術を要する。
・西洋では、魔女の一撃と言う。
・激しい痛みが治まった後は、普段通りの生活をできるだけ行うことで、早期に痛みが引く。
だから、レントゲンで骨を確かめてくれたのか、と合点が行った。
だから、仕事に行くことにストップが出なかったのか。
“普段通りの生活をした方が早く治る”
???
この一文、前にも読んだことがある…。
ということは、ぎっくり腰は初めてじゃない???
あり???
いずれにせよ、少し休んだ後は、ちゃきちゃきと動くようにし、早く痛みをひかせてみせる!と決意した。
“ぎっくり腰”と聞いて、急に年を取ったような気がした。
今は、早く治して、「まだまだ私は若いのだ!」と自分に言い聞かせたくなった。
家族で食卓を囲み、誕生日ケーキを頂いた後は、早々に床に就くことにする。