りょくけん東京

りょくけんだより
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子噺 牛乳 社長日記

めぐりあわせ。

宇野さんと別れた私は、かなり興奮していた。
理想的な牛乳。
豊かな未来像。
伸びしろたっぷり。

深夜2時に寝て、5時に起きて北海道にやって来ていることも忘れた。
早く、お客様にご紹介したい…!

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「今日はこの後、どうされるんですか?」
「旭川空港19時30分発の飛行機で帰ります。『一泊して良いか?』とスタッフさんに聞いたらダメだったんで…。ま、確かに忙しいし。」
「うちのためだけに、北海道に!いや~こんな遠くまで、それは申し訳なかったですね~」
「いえいえ。それは全然。」
「旭川空港まで3時間は見ておきたいですよね~」

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日曜日だったから、他の農家さんのところにも寄れない。
で、あるのならば、せっかく天塩まで来たのだから、そのまま北端の宗谷岬を目指そうと思った。

30分ほど車を走らせたころだろうか。
あることに気づいた。

宗谷岬まであと1時間ほど。
ということは、”旭川空港まで3時間”だったところに1時間30分を足さねばならない。
時計は16時を少し過ぎたところだった。

「あれ、やばい、間に合わないじゃん。」

急遽、車をUターンさせ、宗谷岬はあきらめ、旭川空港に宛先を変更した。
カーナビが示した距離は、216km、到着予想時間は、19:46。

フライトの19時30分を優に過ぎている。

「ま、北海道だからなんとかなるか~。いや、やばい。」

―北海道の100kmは、約1時間。

天塩川も、日本最北だという田んぼも、石狩川の雄大さも、対岸には熊がのそのそと歩いていそうな風景も。
すべてをぶっ飛ばして、空港に向かった。

旭川空港の最終便=19時30分に乗るためには19時前にレンタカー屋さんに着かなくてはいけない。
―のが、常識だ。

市内に入ってから、少し道路も混んだので、さすがに100km=約1時間ではつけなかったけれど、19時にレンタカー屋さんに着き、急ぎ返却。
空港まで走って、そのまま保安検査場へ。
ラグビーワールドカップ開催の余波で、検査がいつもよりも厳しいらしく、いつもならスイスイ進むのが遅々として進まない。

再び焦ったけれど、何とか通過し、飛行機にも乗ることができた。
クタクタだった。

羽田空港に着き、そこから自宅まではリムジンバスで25分ほど。
この立地は、今の私にはかなり嬉しい。

自宅に着くと、息子たちがまだ起きていた。
最近、体力がついてきたので、23時ごろまで起きていることが多いのだ。

次男と三男が駆け寄ってくる。

「とーちゃん、お帰り~。ウノやろ~!」

「え!?」と戸惑った。

最近まで、確かトランプの七並べが流行っていたはず。
「あれそんなのできるの?いつの間に。」
「最近できるのよ、ウノ。」と妻。

これは、なんというか―。
間違いなく、運命なんだろう。
そう思わずにいられなかった。