「ここは、機材を保管しているところです。弊社では、今、ジャストインタイムということをテーマに掲げていて、効率よく、各田んぼに資材や機材を持ち込めるように、整理してやっています。」
バスを止めたすぐわきの倉庫で、そう説明してくださった。
どの機器も大きい。
私道を隔てて、奥に進むと、温湯消毒(おんとうしょうどく)の機械などが置かれた倉庫に着く。
これが、山﨑さんところのコメに直接使う唯一の農薬。
水色の桶の中にモミを入れてお湯で消毒。”湯芽工房(ゆめこうぼう)”という機械名らしい。 |
「60度に熱したお湯で30分、種もみを、この機械で消毒します。」
「消毒?」
「だから、うちは、ほとんど無農薬、いや”ほとんど無農薬”て言っちゃいけないな、まあ、このお湯が、農薬、ということです。」
さすが山﨑さん、よく勉強されているな、と思う瞬間だ。
基本、ほとんど無農薬、という言葉は成り立たない。
でも、お湯で煮沸消毒することを「農薬を使用している」とは、これまた、なかなか一般消費者には伝わりづらい。
”ほとんど無農薬”は、言い得て妙だ。
同じ倉庫の奥には、もみ殻の貯蔵庫がある。
完全に今は扉が閉まっている。
手前の建物は、巨大な脱穀機が数台置かれている。
周囲の農家さんの脱穀も請け負っている。
その間の奥には、ビニールハウスが立っている。
中は、薄いプランタのようあものが並べられ、水が浸してあり、その上には美しい稲の苗が並んでいた。
早速、未就学児たちが、長くつに履き替え、中にびしゃびしゃと入っていく。
「お、ここにはカエルもいるぞ。」と山﨑さん。
「どこ?カエルどこ?」と盛り上がる未就学児たち。
「日が出てきたから、もう隠れちゃってるよ。あ、冷たいものどうぞ~」と山﨑さんの娘さんの美穂さんが、両手いっぱいにペットボトルの飲み物をもってきてくださった。
美穂さんは、東京農業大学を卒業。
有機JAS認証検査員の有資格者だ。
「そうだな、じゃあ、田んぼに行こう、ね、行きましょう。」と施設を後にすることにした。