十数年ぶりに電話をかけ、ひとりの農家さんと話をした。
浜松に居たときに、前任の商品担当者がパイプ役だった。
長崎の農家、馬渡(まわたり)さんだ。
にんじんがメインの農家さんだけれど、ほしかったのは、にんにくの芽。
中華料理屋さんに行けば、炒め物として出てくる、あの、緑の、長い野菜。
ほぼ100%が中国産で、かの国からはドラム缶いっぱいに、何かの液体に漬かって日本に入ってくるとか。
“にんにくの芽”と呼ぶけれど、実際のところは、にんにくの茎、が正しい。
ユリ科の植物なので、ひょろっと伸びて、それをカットすることで、土から下にある株が肥大し、にんにくになる。
日本では、にんにくの栽培の作業のひとつとして手早く行うので、カットしてしまう茎をあえて拾うことはない。
「面倒だ。」
「とてもやれない。」
とよく言われる。
ただ、最後にお話ししたときに、馬渡さんは別だった。
最後に電話で話した時に、「国産のにんにくの芽をやってみようと思うんだよな。」と聞いていた。
平戸早生、とか土着のにんにくを作っているのは知っていた。
現在、主流の”ホワイト六片”のようにひとつひとつが大きくなる品種ではなく、細かい鱗片があるにんにく。
香りや風味は良いのだが、とにかく作業効率が悪かった。
携帯電話にかけたときには、お出にならなかったが、折り返し電話をくださり、りょくけんの存在も覚えてくださっていて、スムーズに話ができた。
「にんにくの芽か~。今年はなんだかできないんだよなあ。」
肥大が早く、茎を形成する前に、にんにくが出来上がってしまったらしい。
これは、昨年末伺った徳之島の農家さんも言っていたことだ。
徳之島では、年に拠らず、にんにくの芽はできず、株が育つ。
少し残念。
それでも、こんなに久しぶりに電話した私に、真摯に対応してくださって、とても嬉しかった。
感謝。