りょくけん東京

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社長日記 野菜情報

お正月便のもう一つの理由。

「今年のはまた、すごいな。今までのを超えたな。これは本当においしい。」

サンプルを食べながら、私の元上司がうなった。
めったに褒めないのに珍しい。

すすめられるまま食べてみると、肉質が本当にキメ細やかで、ホクホク感が強く、ほんのりと甘みが上品で、本当においしいと思った。

―磐田の大塚さんがつくる「海老芋(えびいも)」である。

海老芋は、京都が有名だが、静岡の磐田も名産地のひとつである。
海老の背のように、縞模様が入るよう、土寄せする作業が、海老芋の栽培の一番大変なところ。
磐田の天竜川沿いの地域は、砂地で、土が軽く、この作業がしやすかったことから、産地になった。

私の前職であるユニクロ;SKIPのときから、扱っていた商材で、本当に好きだった。

りょくけんに入社して迎えた年末に、また譲ってほしいと、生産者の大塚さんに電話したところ、組合の枠を外れたスタンドプレーはしない、と断れてしまった。

直接会ってみたら、態度も軟化するのではないかと期待してたずねたところ、プライドをくすぐることはできたが、それでも、直接取引はしない、と動かなかった。

組合を通して、すべての海老芋を出荷する、という。

では、写真だけでも、とお願いして、ご夫婦で撮影させていただいたのを覚えている。

会社に戻り、上司に相談したところ、では、浜松の市場には必ず出るから、知り合いの仲卸に頼んで、大塚さんを指名して、購入しなさい、ということになった。

以来、10数年、大塚さんの海老芋を、年末になると扱うが、毎年、仲卸さんにお願いして、融通してもらっている。

お正月便の目的は、店舗の作業軽減もひとつにはあったが、もうひとつは、この海老芋を世に知らしめることもあった。

私なんぞ、この業界に入るまで、海老芋を聞いたことも見たこともなかった。

このおいしい海老芋を何とか広く食べてもらおうと思ったのである。

お正月便は、内容が、基本的にはフィックスなので、このひとつのアイテムに、海老芋を加えた。

こうすれば、お正月便を依頼してくださった方には、もれなく海老芋が行き渡る。

だいぶ認知度も上がり、評判も上がった。

ぜひ、店頭でも、見かけたら召し上がってみてほしい。