生産部の先輩から誘われ、
「行きたい!行きます!」
と即答した。
「いいよ、じゃあ、お昼食べてから行くから。」
どういった理由で会長のところに行ったのか、正直、あまり覚えていない。
健菜さんに卸す野菜をピックアップに行ったような、そのための肥料や農薬の履歴を調べに行ったような…。
部長に「午後、会長のところに、行ってきます。」と報告すると
やや血相を変えて、「一人で行くのか。」と問われ、先輩と行くことを伝えると
少し安堵したように「単独ではいかないように。」と言付かれた。
右から照喜治さん、ハナ、いとさん |
高丘東。
都田よりも町の中心部に近い場所に、照喜治さんが設立した「永田農業研究所」はあった。
市内とは言え、車で20~30分くらいはかかる距離にあった。
聞けば、りょくけんも、以前は高丘東にあったそうな。
あまりにも住宅地で、深夜にトラックが納品に来るために、近所迷惑が続いてしまい、少し山のほうである「都田」に引っ越したのだとか。
先輩と初めて訪れた会長宅=永田農業研究所には幾分面食らった。
木造、平屋の、おおよそ研究所という言葉とは縁がなさそうなたたずまい。
看板もない。
そして犬が吠えてきた。
「ハナ、ハナ。お客さんだから。」と奥から会長が出迎えにきてくれた。
ハナ。
そういえば聞いたことがある。
販売部長が、コンビニで購入するフライドチキンが大好きで、骨まで食べてしまう、「たぶんオオカミの血が入った犬なんだよね。」と言っていた犬だ。
ハナという名前から察するに、メスだと思うが、いつも吠えられていたように思う…。
「新しくりょくけんに入った大森です。」
初めてまじまじと見る照喜治さん。
おだやかな笑み。
カピカピに渇いて日焼けした肌。
聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームの声。
この方が、緑健農法、永田農法の創始者!