赤木さんのカフェ |
お父様は、落ち着いた口調で、どこか達観したような哲学者のようなしゃべり口だった。
養豚がメインで、加工肉=ハムやソーセージもつくる。
施設も見せていただいた。
そこに赤木さんが汗だくで登場。
「北海道だから涼しいと思われるんですけど、十分暑いんですよねー。」と笑う。
赤木さんは、有機農業を営んでいる。
有機農業しやすい作物とそうでもない作物がある。
アスパラガスはどちらかというと後者だ。
何かに守られるでもなく、芽吹く野菜。
除草も大変だ。
気づくと、あちこちに鶏が放たれている。
「こいつらが、良い子なんですよ~。草を食べてくれるんです。お、たまご産んでくれてる。」
アスパラの合間に産み落とされたたまごを、慣れているせいもあるが、さくさく拾っていた。
初めてお取引をした当時は、もみ殻で遮光するやり方だったが、翌年からは遮光ハウスに切り替えた。
4月末から始まり、5月まで順調。
暑くなり始める6月ごろから、ハウスの側面を開け閉めして、温度調整が必要になる。
アスパラガスは、前年秋までにため込んだ栄養を使って、芽吹く。
収穫開始から1か月以上たつと、ため込んだ栄養が不足してくる。
早く木になって葉を伸ばそうとするから、固さが増してくる。
ここが赤木さんの目。
”いつ、収穫をやめるか。”
毎年、6月になると、「もう少し頑張ってくれよ~。」とアスパラガスに話しかけるそう。
最終的にはハウスを覆っていたビニールをすべてはがし、軟白化をやめて、緑のアスパラガスにする。
アスパラガスはぐんぐん生長し、葉を出し、光合成を開始。
翌年の芽を出すための栄養を株に再びため込む。
赤木さん曰く、アスパラ栽培は秋までが勝負、という。
北海道の短い秋の間に、十分に光合成をさせていないと、翌年の生り(なり)は少なくなるためだ。
良い品種を求めてドイツにまで行って、選び抜いた品種を使っている。
同年代の情熱に、とっても感化された日だった。
10年経った今、本業であった養豚を抑え、農業部門がメインとなったとのこと。
ますます、この美味しいホワイトアスパラを世の中に広めていきたい。
赤木さん |