寒締めほうれん草、収穫中。
店内はすっかりクリスマスの雰囲気。BGMも装飾も。「東京は早いなあ、浜松ではまだまだなのに…」なんて思っていたら、いつの間にか駅前に大きなクリスマスツリーが出来ていた。クリスマスも、もうすぐそこに来ているのを実感する。
浜松駅前のクリスマスツリー。
そんな中、11月末に店頭に新しく登場したのが「寒締めほうれん草」。
縮れた葉に、縦ではなく横にふわっと広がった形。初めて目にしたときには、「これがほうれん草?」と思ったものだ。
一見すると、グロテスクとも言えるその様相から、「ちぢみほうれん草」とも呼ばれる。
植物は不思議なもので、寒さに当たるとおいしくなる。零下になった気温の元、「凍るまい」として、自ら濃度を高めていき、それが味の密度につながるのだ。糖度が高くなり、最終的に、根の部分の糖度は18度にもなる。ほうれん草の糖度なんて、あまり耳にした事がないが、18度は、我(?)ながらすごい。くだものに例えれば、巨峰並みだ。
収穫もすごい。
この日は、雪もそれほど深くなく、収穫は楽な方。
縦ではなく横に地這いになったほうれん草。その上を白い生地で覆ってあり、さらにその上に雪が降り積もる。一面の銀世界の中、雪を掻き分けて、パートさんたちが生地をはずし、凍ったほうれん草を刈り取る。そう、最初は凍っているのだ。凍ったままのほうれん草を加温していないハウスに入れると、自然に解凍されて、ほうれん草に戻る。凍ってしまったと思われたほうれん草も、実は生きているのだ。それから作業場に移し、絡みついた土を落とす。ひとつひとつ洗いにかけ、乾かしてから袋詰めする。この乾燥が不十分だとトロケが出たりするのだが、きちんと処理されていると、ものすごく日持ちする。ほうれん草なのに1週間は問題ない。
ほうれん草を覆っていた布(?)を取り払う。
雪の中から登場。
ハウスで解凍後、ひとつひとつ手で洗い、土を落とす。
梱包中。実はかなりテクニックが必要。
梱包された寒締めほうれん草。
雪の中での作業、一日ハウスにおいておくこと、洗い、梱包。これだけたくさんの作業を経て、店頭に並ぶ。
一見、固そうに見える寒締めほうれん草だが、とてもやわらかく生食もできる。でも一番のオススメはソテーだ。あれだけカサのはるほうれん草が、火を通すと一瞬にしてぎゅっとその体積を縮める。シュウ酸が多いから、と赤い部分を捨ててしまう方も時々いらっしゃるが、肥料の完全消化を心がけるりょくけん農家さんだから、ご心配なく。赤い根の部分が一番栄養価が高く、なにより一番おいしい。
来年2月くらいまでの冬季限定の野菜。どうぞお見逃しなく。
代表の中澤さん。
■寒締めほうれん草 宮城県登米市(とめし)産 11月末~2月末 294円(税込)