沖縄の恵まれた気候の下、島バナナは生まれる。
沖縄に来ている。
青果に携わるようになって以来、ずっと取り扱いたいと思っていた「島バナナ」とその農家さんにようやくめぐり会えた。沖縄の農家さんのお庭には、「一家に一本」みたいな感じで、たいてい庭木として植えてある。好きなときにカットして、軒下にぶら下げておいて、緑→黄色→黒の斑点と色が変わるのを待って食べる。一年でかなり巨木になるが、ひょろっとしているために弱く、台風に倒されて、なかなか経済栽培に結びつかないのがネックで、本州まで入ることが少ない。
収穫したてのバナナ。お店でもこの状態で届く。
那覇空港から車で30分くらい。南風原町(はえばるちょう)に、その農家さんは居た。農薬面もクリアーで、土壌も、沖縄独特の「ジャーガル」という白っぽい粘土。水はけが良いのに、水もちもある、という。
「これは1週間たったものだから、食べてみて」
実は私にはまったく聞き取れないのだが、雰囲気でそういわれたと思うので食べてみると…。
美味しい!
さわやかな酸味がほのかに感じられ、甘みも強い。もっちりした食感がまたすばらしい。皮の薄さにも驚きだ。
左の色みよりさらに黒い斑点が増えたころが、美味しさのピーク。
「もっと黒い斑点がつくと、甘みが強くなる。」※と新垣(しんがき)さん。これよりもさらに甘くなるのかなあ。手持ちの糖度計で計ると、優に20度を超えている。
しばらく談笑していると、だんなさんが帰ってきた。沖縄は日中がとても暑いので、昼休みを長く取り、4時ごろから19時を過ぎるくらいまで作業をする。真っ黒に焼けて目がぎょろりとした、まさに「うちなんちゅう!(=沖縄人)」。だんなさんが帰ってくると、おばあさまも家から出てきてくれた。しばらく談笑。
「外国のものが安く売られているから、こんな高いものは、売れるの?」※とか。
「農薬なんか、消費者の方が見てくれを気にしなければ、汚くても中身は美味しいっていうのが分かってくれれば、まく必要はないんだ。俺らの方がダメになっちゃうんだ。」※とか。
「ああ。ゆいちゃんね。親戚だよ。この二件先だ。」※とか。
新垣さん。「誰が来たとしても方言はやめないからな!」※と。
沖縄の灼熱の太陽の下、たわわに実った島バナナ。農家さんの、同じく暑い思いと一緒に、このバナナを召し上がっていただければと思う。
とーってもまーさんど!
■島バナナ 沖縄県産 126円/100g 7月3日(木)~販売(不定期) 追熟まで1週間くらい。黄色くなったら食べごろです。
日本には「美味しい!」がいっぱいだ。
※いずれも雰囲気の訳です。まだ一日目、聞き取れません…。