りょくけん東京

りょくけんだより
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ぷるぷるが美味しい。じゅんさいは、秋田のお母さんの味。

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 「岡田さんともう一人ぐるぅっでぎいだがら、誰がなあ?大森さんがなあ?っで楽しみにしでたんだあ。」と湊さん。

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 秋田県のやや北部、海岸沿いに、三種(みたね)と言う地域がある。稲作や大豆栽培が盛んな場所で、やや大きめの道路沿いには、必ずと言って良いほど田園風景が広がっている。稲じゃないな、と思うと、たいていが大豆だ。だが、大きな道路を少しだけわき道にそれると、人の手がほとんどかかっていないような自然林に出くわす。付近に、世界遺産で知られる白神山地がそびえるのだが、私にしてみれば、そこらじゅう全てが白神山地を思わせる風景だ。

湊さんのじゅんさい畑(=池)は、そんな風景の中に点在する人口沼の一つだ。目の前に突如として広がる池は、まるでモネの水蓮の絵のよう。蓮の1/2くらいの大きさの葉がぷかあっと浮かび、ところどころに赤い点々が見える。

「あれ、湊さん、じゅんさい、花の時期じゃなかったけ?」と(株)りょくけん社員の岡田。

「咲いてるよぉ~」 と湊さん。

よくよく見ると、その赤い点々が花だった。

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鮮やかな赤みを持ち、小さく可憐だが、力強さがある赤だ。

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収穫は、明らかに手作りに見える長方形の「船」に乗って行う。

ぷかあっと浮かぶ丸い葉の下にツルがあり、その先に、丸く広がる前の細長い幼葉が見える。これが食用とするじゅんさいだ。特に1cm以下くらいの小さいものが「特選」となる。「特選」と聞くと、なんだかかしこまるが、実際は味に変わりはない。

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「お客様も小さいほうが美味しいと思われているんですよね。」と言うと、

「そうがあ。でも違うんだなあ。大ぎい工場さ、持ってるどごが、サイズを分げで出荷する時に手間が余計ががるがらっでいうごどで、高い値段がづくようになったんだよナ。本当は何にも変わらないンダ。」

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ただ、確かに「特選」の出荷は大変だ。水中のツルが分かれるところに爪を入れて切り離すのだが、これが、つるつるしていて、落としてしまいそうになる。収穫したものからさらに小さいものを切り離して、それだけを集めたもの、それが「特選」というワケだ。

りょくけんでは、小さくても大きくても、味が同じであれば、と「無選別」を販売している。

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「ほら、これがじゅんさいだ。プルプルだなあ。」

茶色と緑の間のような色のツルと幼葉の周りに寒天質をたっぷりとまとっている。

少し前までの「野菜本」を読むと、『栄養はほとんど無い、喉越しを楽しむもの』なんて書いてあるが、最近の研究では、肌に良く、メーカーが化粧品の成分として使ったりしている。

「酢を入れだら何年も持つようになるんだげどナあ、その時その時の方が良いと思うんだナあ。大森さんどごにはナ、朝とったものを、おとーさんがとってぎだ八丁堀の水に入れて、その日のうぢに出荷してるヨぉ。金具でも留めるどごもあるげど、ゴムの方が暖げぇがなと思ってるンダ。」

「鍋にする時は、あづぐなっているから、お子さんは気をつげで、フーフーしで食べてナ。」

秋田に居る間、ヒアリングにはかなり苦労したのは事実なのだが、湊さんの秋田弁の響きは、なんだか優しい。

「若いっていいナ。まだ来でげれ。」と見送ってくれた。

池から上がり、車に乗り込むと、左手がなんとなくしっとりと保湿されているのに気づく。湊さんの秋田弁と人柄ともども、なんだかほっとする時間だったのでした。

■生じゅんさい 秋田県産 1袋 473円(税込) 7月15にごろまで。

●調理方法 少し洗って、わさび醤油や、酢の物、てんぷらなどに。火を通すと茶色から緑色に変わるが、通しすぎると、ぬめりが取れてしまう。秋田では鍋物にたっぷりと入れて食べる。白滝や関西のくずきりのイメージか。