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チョロギ

初めて見た野菜。

「え。何ですかこれ?」
「え。初めて見ました。」
「え。初めて見ました、生の。」
「え。初めて見た、赤くないやつ。」

などなど。
極めて認知度が低い野菜なんだろう。

一見、何かの幼虫のようなシェイプ。。。
などという不謹慎な発言をしかねない野菜が、チョロギだ。

中国南部を原産として、日本では大分の竹田、福島の二本松、広島、秋田などで作られているが、消えゆく野菜のひとつかもしれない。

お正月の縁起野菜として知られ、生のものを塩もみ、あるいは塩漬けして、赤く着色して真空パックにされたものが出回る。

シソ科の植物で、根っこに生える塊茎(根の一部がふくらんだもの、じゃがいもと同じ)を食用にする。
中国では、朝露葱と書くようで、それを日本語読み(?)して、チョロギという名前が付いたそう(諸説あるうちのひとつ)。

(でも、現代中国語では草石蚕、甘螺儿、甘露子と言うようだ) 儿=児童の児の意味合い

そもそも、日本語ではカタカナ表記が一般的だから、よく分からないところだけれども、後付けで漢字を当てて、長老木とか長老喜とか長老貴とか、千代呂木とか丁呂木と書く。

長老とか千代と書くことから、長生きを意味し、縁起物として食べられるようになった。
宿根草(しゅくこんそう)と言って、土から上の部分が枯れても、翌年は芽を吹く多年草だから、なおさら、縁起を担がれたのかもしれない。

青森の毛豆を譲ってもらった生産者さんである赤石さんが育てていたので、今期はついに譲ってもらった。
”消えゆく野菜”と聞いて、ならば自分が育ててみよう、と思ったそうだ。

曰く、「素揚げしたり、焼いて、塩コショウを振っただけでホクホクして美味しいですよ。」とのこと。

早速、少し多めの油で焼いてみた。
白かった実が、だんだんと透明になってきた。

2~3分のところで、いったん食べてみると、シャリシャリして、やや青臭い草の風味。
これでも特徴があって美味しい。

もう少し加熱することにした。

結局6~7分のところで食べてみたところ、食感が変わり、ホクホクに。
塩コショウを振ると、芋好きの私には、とても好みのお味になった。

お正月の赤いものは、塩漬けにして、都度、赤く染めて出荷するらしい。
おそらく、シャリシャリの食感だったのは、この塩漬けの時の感覚だろう。

19世紀には、ヨーロッパにも伝わり、フランスではスーパーでも販売されているようだ。
中国経由で伝わったようだが、その割に、名前は Crosne du Japon (クローヌ デュ ジャポン)という。
高級野菜に位置付けられ、ニンニクとオリーブオイル、ハーブなどで炒めて食べるそうだ。

”a la japonaise(=日本風の)”と名の付く料理には、このチョロギが添えられるのだとか。
ちなみに、Crosne(クローヌ)は、地名で、チョロギがフランスで初めて育てられた場所なのだそう。

英語では、japanese artichoke(=日本のアーティチョーク)。

オリゴ糖の一種である”スタキオース”という成分を豊富に含んでいることが分かっている。
小腸を通り越して、大腸に届き、腸活に良いようだ。

経済栽培が少ないから、こういった栄養価や効能の調査や研究はまだまだ少ないのだろう、裏付けのデータを探し見たけれど、無かった。
江戸時代の書物には、免疫作用や血の巡りを良くすると書かれているようだが。

まずは、食べて、その美味しさに驚いてほしい。

■チョロギ 青森県産 約100g 648円(税込)
https://www.shop-ryokuken.com/SHOP/321802.html

※肥料も農薬も使用していない。