私の思い入れの強いりんご品種が始まった。
その名を青林(せいりん)と言う。
15年ほど前、私が青果の師匠と仰ぐ永田さんが出張から帰ってきて「このりんごが良いぞ。」と教えてくれた。
「青りんごはちょっと…」
赤いりんごに比べ、青いりんごは売りづらい。
しかも、B品を購入してきたのか、そのりんごの肌は悪いし、お尻が変に大きく、左右非対称。
お世辞にも、美味しそうな見た目ではなかった。

ところが永田さんが、包丁を入れると、その断面にまず驚き。
蜜がいっぱいだったからだ。

口にすると、果肉はしっかりと固く、甘さがいっぱいで、りんごの正統派のお味で美味しい。
「これは良いですね、部長!」と叫んだものだった。
ただ、どこの誰が作っているのか、教えてくださらない。
「このりんごを作っている方を青森かどこかで探すか、知っている農家さんに作ってもらいなさい。」と言う。
わずかなヒントを探し、見つけた断片から、農家さんの電話番号を探し出す。
そうして、探し出した農家さんが、奈良岡さんだった。
迷惑を顧みず、さっそく電話。
「青林? 確かに作っでるんだげど…。それより名月の方が…。」
と歯切れが悪い。
真意を聞いてみると、「美味しいんだげど、見た目が悪ぐでさ。今年で切ろうと思っでだんだ。」と答えが返ってきた。
「切らないでください、うちで売りますから!」
と始めたりんごなのだ。
2025年も、無事、開始。
まだ収穫と選果、出荷が同時進行だと思うけれど、出荷してくださった。

相変わらず、お尻の広がり方とか、左右が対称にならないとか、色々あるのだけれど、出来はとても良く、美味しさは格別だ。
ぜひ、多くの方に、この青りんごを召し上がってほしいなと思う。

■りんご(青林) 青森県産 約1kg(3玉前後) 1836円(税込)
https://www.shop-ryokuken.com/SHOP/476102.html