待ちに待ったぽろたん栗が本格的に入荷してきた。
現地で確認したよりも少し小ぶりのものも入っている気がするけれど、美味しさに変わりはない、はず。
届けてくださったのは、岐阜県恵那市の坂元さん。
岐阜県は、茨城、熊本に次ぐ栗の産地だが、一人一人の農家の規模はそこまで大きくない。
その代わり、こだわりが強い。
都会がご出身の坂元さんは、栗が好き過ぎて、栗農家になった方。
勉強家なのか、就農7年目ながら、農業の知見がとても豊富だった。
次から次へと出てくる知識に、メモもカメラも追いつかなかった。
試行錯誤を重ね、現在、肥料も農薬も使用せずに栗を育てている。
坂元さんに言わせると、ぽろたんは追熟タイプの栗だそうで(少なくとも岐阜ではそういう認識かも)、
2度の冷蔵庫に1か月保管すると、ぐっと甘みが増すそうだ。
9月9日から先週まで収穫していたから、良い頃あいか。
一方で、カビが怖いのも事実。
追熟過程で、栗から糖分が染み出し、カビやすくなる。
鬼皮のカビは、洗って干せば、まず問題ない。
栗にカビが付着した!と言ってすぐ廃棄するのではなく、この場合は、洗浄し、ぜひ鬼皮の中の栗を確認してほしい。
さて、ぽろたん。
国のヒットメーカーである農研機構が偶然見つけた画期的な和栗。
奇跡の栗とも言われている。
和栗は、イタリアや中国の天津甘栗と違い、渋皮が剥けない。
鬼皮の中にある薄い、あのやっかいな皮だ。
天津甘栗を日本に持ち込んで植えても、渋皮が剥けなくなってしまったというから、
渋皮が剥けないのは、日本の気候風土によるものだと考えられている。
そのために、創意工夫を凝らし、渋皮煮という料理法があったり、渋皮を剥く道具や熟練の技術が編み出されてきた。
が、やっぱり渋皮が剥ける方が、気軽に食べやすい。
害虫であるクリタマバチへの抵抗性がある程度解決した頃、突然見つかったのが”ぽろたん”である。
切り込みを入れ、加熱すると、渋皮がぽろっと剥けるのが分かったのだ。
しかも日本栗のホクホク感を踏襲し、甘みもある。
コードネームだけだった栗と丹沢栗の掛け合わせから生まれた。
包丁でがつんと切り込みを入れた後、オーブントースターやフライパンで20分ほど焼くと、食べられる。
ぽろんと剥ける楽しさは、他のどの有力な栗でも味わえない。
ぜひお試しあれ。