「まだ落ちないと思っていたんですが。」
「あ、もしかして、ぽろたんですか?」
「はい、ぽろたん、今日から収穫開始ですね。うん、思ったよりも落ちてる。ここの列からしばらくぽろたんです。」
十数本植えてあるぽろたんの木の下には、確かに毬栗がチラホラと落ちている。
”どんぐりの背比べ”という言葉があるが、栗だってその類で、見分けるのは難しそう。
「ぽろたんはすぐ分かります。まず三角の形をしているということ。それから、後ろのお尻の”座(ざ)”の部分が白く小さいんです。他の栗はお尻を全部覆うように大きいんですが、ぽろたんはそれより小さい。」
↑上がぽろたん。下が丹沢。
訪問前に、その日にぽろたんはまだ落ちていないだろうということと、ぽろたんは切ってしまおうかと思っていたことを告げられていた。
ぽろたんには特定の販売先がないことが、伐採の主な理由だ。
詳しくは聞かなかったが、景勝地”恵那峡”を抱える恵那は、観光と栗のお菓子が一大産業として成り立っている。
すぐ近くの川上屋さんの直売所は、土日祝日ともなれば、目の前の道路を埋め尽くす大渋滞になるほどだと言う。
早生である丹沢や筑波は、新栗として価値があるし、利平や銀寄、秋峰は食味が評価されている。
おそらく作業工程も確立されており、鬼皮や渋皮を取って中身を加工するのも家庭に比べ、さほど難しくないのだろう。
その確立された工場ラインに、ぽろたんという、渋皮が熱いうちであれば剥ける品種が入ると、作業工程をもう一つ別に設けなくてはいけないから、栗きんとんのメーカーさんに納めるのはあまり意味をなさないのではないだろうか。
でも、私どもにとっては特別な栗だ。
あの、焼いた後、ぽろっと渋皮から栗が剥けて取り出せるのは気持ちが良いものだし、食感も食味も良い栗だ。
また、シャインマスカットぶどうと違い、全国一律には栽培できる品種ではなく、栽培地を選ぶ栗のようでもある。
落ちないと思われていた日に、落ちて収穫可能になったのも、何かのご縁だろう。
「うちで頑張って販売しますんで、切らずに栽培を続けてほしいです。」と告げた。
「あ、これなんか良いですよ。ビジュアル的にも良いんじゃないでしょうか。」と坂元さんが良い感じのぽろたんを見つけてくださった。
見るからに痛そうだけれども、手のひらに乗せて見せてくださった。
実際に痛いらしく、刺さったとげをその後少し気にされていたっけ。
「利平(りへい)も良い栗ですよ。中国栗との掛け合わせなんで、甘みが強いです。」
奥に進むと最新の品種である”秋峰(しゅうほう)”も。
富士柿と思われる渋柿の木も見せて頂いた。
帰り際、私から自社商品のジュースを「手前味噌でアレなんですが、良かったら。」とお礼も兼ねてお渡しした。
「それじゃあ、僕らかも。」と軽トラから二つ持ってきてくださった。
「これは昨日収穫した丹沢です。ぜひ恵那の栗を試してみてください。」
もう一つは、なんと手作りの栗きんとん。
「もしかして坂元さんが作ったんですか!?」
「はい、これを作りたくて、栗農家をやっているようなものですから。」とサラリ。
栗好きが高じて、都会から移住し栗農家になった坂元さん。
知識も豊富で研究熱心。
素晴らしく勉強になった。
「え、もう恵那を離れるんですか?」
「はい、これから瑞穂市とか本巣の方に向かいます。」
「あ、本当に全国を飛び回ってるんですね。」
確かに、もう少し恵那を楽しんでいきたい、知りたいと思ったのだけれども。
後ろ髪もひかれながら、再びレンタカーに乗り込み、西に向かうのだった。
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