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ぽろたん 恵那

栗好きの栗農家さん4。

そんな講義を受けた後、坂元さんに従って歩を進めていくと、私はほんの、ほんの入り口にしかいなかったことが分かった。
広い広い栗畑。

「今は、丹沢が落ちていて、収穫中なんです。」

栗はマンゴー同様、完熟すると落果する。
熟期になった栗は、固いイガイガが茶色になり、殻が割れ、栗が顔を出す。
そして落果する。

「枝とか木を叩いても落ちそうですね。」
「叩くのはNGです。それだと完熟ではないんです。」

落果したイガイガの両脇を長靴の底で少しずつ開いて、中の栗を長いトングで取り出す。

三つ、きれいに詰まっているものもあれば、両脇が未成熟で、真ん中だけがぷっくり膨らんだものもある。

「丹沢は、外観が今一つで、この後の筑波とかからは、茶色が本当にきれいで、つやがあるんです。」

落果の衝撃で、中の栗が飛び出していることもある。

片手に収穫用のカゴを持ち、利き手のトングで、そこかしこに落ちている栗を拾っていく。
そのスピードは圧巻だ。
目も早いし、手も早い。

「あ、あれが、恵那山です。」

栗畑の向こう側は、意外にも住宅地。
その向こうに山が見えた。

「おお。」
「山が好きでしたら、こっちには御嶽山も見えます。今日はちょっと霞んでますが。」

御嶽山。
ちょっと怖い、というイメージとお相撲さんのイメージだ。

「あっちが笠置山です。」

私が間違えて麓まで登ってしまった場所。

山々に囲まれた諸条件が、栗の育成を助けているのだと思う。

「あ。落ちてる。」

しばらくまた歩を進めると、坂元さんがポツンとつぶやいた。