りょくけん東京

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ジュノハート 紅秀峰

弘前(ひろさき)のさくらんぼ。

さくらんぼは、長い間、課題だった。

6月という月は、国産くだものの端境期であり、難しい時期。
さくらんぼは、この6月に収穫がある有力商材でもあるのだけれど、諸刃の剣でもある。

高価だし、傷みも出るし、美味しくない年は、全然美味しくないから。

ちなみに、糖度という基準がある。
その果実にどれだけの糖分が含まれているかを表す指標であり、くだものの美味しさを物語る。

この糖度。

さくらんぼと桃であれば、どちらの方が高いかご存じだろうか。

桃の方が糖度が高いように感じるかもしれないが、早生の桃で糖度は12度。
晩生の桃で、15度くらいだ。

さくらんぼは、20度を超える。
15~16度くらいのさくらんぼも数多存在するが、食べるとあまり味がしない。
逆に言うと、20度を超えてこないと、さくらんぼの味はぱっとしない。

一等地は、自他とも認める山形だろう。
栽培技術も、価格の高さも、面積も随一。

だが、その分、なかなか難しいところがあり、私は早々に、山形でさくらんぼを続けるのをあきらめた。

そこで、青森である。

弘前のりんご農家が、ある程度の規模で、さくらんぼを栽培しているのだ。
りんごの収穫は10月から本格化する。
その前に収穫が可能なさくらんぼを栽培することで、年間の売上を立てるのである。

岩木山山麓の、田沢さんに長い事お世話になったのだけれど、コロナ禍で栽培を断念。
小さな果実であるさくらんぼは、収穫と選果、箱詰めに人手がかかり、継続できなかった。

わらをもつかむつもりで、電話をいくつかして、紹介に紹介してもらって…。

お会いできたのが、赤石さんと小野さんだ。

赤石さんはりんご農家で、その作業が本格化する前にさくらんぼに力を入れる。
あのタイミングで、よく付き合い始めてくださったと思う。

後から聞いたのだけれど、あの年、ていうか、お会いする直前に、お父様が亡くなられていたからだ。
さくらんぼを主に管理していたのも、お父様だった。

今年は少し遅くなったけれど、ばっちりだった。

ご挨拶したい旨を伝えたが、直前過ぎて、ご用事があるということで、今期はお会いできなかった。

小野さんは、ご主人が建設業。
その傍ら、岩木山山麓の土地を手に入れて、果樹園運営を試みている。
近くまで行ってみたが、一人ではたどり着けなかった。

小野さんと話していると、収穫や選果、箱詰めは、ご主人の会社の方だったり、姉、弟、弟の嫁、息子の嫁とか、いっぱいお手伝いしてくださる方がいるようだ。

自分で、もうおばあちゃんだから、あと4年でさくらんぼは止めるの、と言うのだけれど、小野さんの紅秀峰やジュノハートは大きくて美味しい。
所作が若くて可愛らしい。

理由が分からないのだけれど、山にある小野さんのさくらんぼ畑は、生りが薄い。
だから、自然と摘果されていて、大粒になる。

「でもね、今年はなんだかいっぱいなっちゃって。収穫し切れないし、色もつかなくて。」

昨年、あんなに状態の良かった小野さんのさくらんぼ。

今期は、収穫適期を見誤ったのかもしれない。
届いた時に、傷みがとても多かった。

ご自宅 兼 選果場を訪ねて、お菓子もさくらんぼもたくさん食べさせてもらってしまった。

貴重なのに…。

「4年なんて言わず、ずっと続けてください。」

「でもね、もう目も見えなくなってきていて。。。その代わり、美味しい桃を作るから!」

青森のりんご農家さん。
そう、桃の栽培に熱が入っているらしい。

苦労して手に入れたご縁なので、本音を言えば、さくらんぼが良いな。

「朝3時に起きるのもあと4日!、あと4年!と思って頑張るんで!」

今年のさくらんぼも、あと少しで終わり、ということだった。