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スイカ ピノ・ガール メロン ゆうか 産地訪問記

木造(きづくり)にて。

青森県木造(きづくり)町。

海と山と市街地と田んぼの町だ。
青森県西部に位置し、内陸の方から言うと、津軽平野が広がり、大規模な田んぼがどこまでも続く。
市街地を挟み、山があり、海岸となる。
その山を開墾し、畑が出来た。

畑も十分に広いが、田んぼに比べると小規模である。

どうやら木造の農家さんたちのおおよそのビジネスモデルは決まっており、20町を超える田んぼを有し、夏の間は畑作も並行して行う。
お米の銘柄は、”まっしぐら”。
青森には、コシヒカリに追いつけ!と食味重視の”青天の霹靂”と”はれわたり”という米品種があるが、多くの農家さんが”まっしぐら”を育てる。
理由は主に二つ。

1.大粒で収量が多い。1反から10俵。
2.自ら、二流産地と認識していて、表に出ない外食に流通させている。

面積が20町あれば、2000俵とれる。
1俵(=60kg)が12000円と安くても、それだけで2400万円の年収となる。

新潟のコシヒカリなどは、昨今の値上がりで、1俵3万円は下らないが、1反から6~8俵しか取れないし、20町の田んぼを有する農家さんは稀有だ。

いずれのビジネスモデルも面白いと思う。

今回、訪ねた長谷川さんも、自宅の西側では広い広い田んぼで、まっしぐらを育てる。
自宅の東側で、曾祖父たちが開拓した山の上で、スイカとメロンなどを育てる。
ハウスと、トンネルと露地の3作柄をそろえ、7月中旬から8月中下旬まで収穫、出荷する。

そのラインナップは魅力的だ。

・メロン …ユウカ、タカミ、レノン
・スイカ …紅まくら、羅皇、金色羅皇、小玉スイカ(ピノガール)

10LDKくらいある大きなご自宅から車で数分のところに、大きな畑が二つあり、ビニールハウスが3棟、トンネル栽培はあわせて1.5町くらいか。
それに加え、露地も7反くらいある。

ハウスの中は面白くて、下にユウカやタカミ、レノンが植えてあり、上方の空いたスペースにぶどうが植えてある。
シャインマスカット、ナガノパープル、マイハート。
いずれも皮ごと食べられる種なしの大粒ぶどう。
稲の育苗に使っていると言うビニールハウスは、苗の定植後はぶどう専門になる。

広いトンネル栽培の園地は、圧巻だった。

注目している”ピノガール”もわらに囲まれながらすくすくと順調に育っているように見える。

ピノガールは、奈良のナント種苗さんが開発した小玉スイカ。
発想が面白くて、種を食べても気にならないスイカだ。

スイカは、美味しいけれど、種が気になると言う方は多いと思う。
とはいえ、種なしスイカは、育種がやや面倒だし、今まで生まれてきた品種は食味も食感も今一つだった。
私が物心ついてからは、種なしスイカはほとんど見なくなった。
だから、スイカの種を飲み込んで食べてしまう方も多いのではないかと思う。

そこで、薄く小さな種であれば、飲み込んでも気にならないのでは?と生まれたのが”ピノ・ガール”である。
巷での流通も増えてきた。

木造では、稲作を兼業している方が多いので、わらを有効活用する。
畑に敷き詰めて、防草に役立てるのだ。

畑の長谷川さんを見ていたら、そのわらをこまめに動かし、スイカやメロンの頭にのせていた。

「こうすることで日焼け防止だったり、変に熟度が進んで煮えるのを防いでいるんです。」

スイカの生産者さんは”煮える”と言う言葉を良く使う。
畑で直射日光に当たり過ぎて、果肉がやわらかくなり爆ぜてしまう現象だ。

人気の品種なので、このまま順調に育ってほしい。

畑のスイカに魅せられていたが、ふと顔を上げると、とても良い景色であることに気づいた。