「これに入っておけば、そうそう退店させられないから。」
17年前のこと。
当時の松屋銀座のご担当の上司の方から、松栄会入会のご推挙を頂いた。
松栄会は、松屋に入店するテナントさんで作る会で、オンワード樫山さんやワコールさん、ルイ・ヴィトン・ジャパンさん、とらやさんなど、百貨店のそうそうたるメンバーが入会している。
年に一回、総会があり、松屋の成績だったり、今後の中長期計画を聞く。
その後、懇親会があり、フルコースを食べさせていただける。
年会費もお支払いするのだけれど、総合して考えると微々たるもの。
初回の出席は、永田社長(当時)と一緒に私も同席させてもらい、翌年からは私一人で出席するよう言われた。
自分で調べることも、もちろんできるが、学生の時からの癖なのか、授業のように、松屋のMD責任者からご説明いただくと、頭に入る。
以前は、場違いのように思ったし、隅の方でそっとごはんを食べていたけれど、その、松屋のご担当者から、
「お前な。こういうところに来たら、名刺持ってあいさつに行って、顔を売るんだよ。」とご指導があり、緊張しながらも、松屋の社長やお世話になっている執行役の方々に名刺を配り、顔を覚えてもらうようになった。
松屋の秋田社長(当時)から頂く言葉が、何回目の出席からか、
「あ。いつも美味しくいただいています。銀座のお客様から支持される良い商材だと思います」から
「あ。りょくけんさん。今の事業が継続できているのも社長の日々の努力のたまものです。大変だと思いますが、大森社長あってのりょくけんさんですから、くれぐれも健康には気を付けてください。」
と言われてからは、現金なもので、毎年、どんな長蛇の列があろうとも、必ずご挨拶するようになった。
それくらい、有難く、嬉しい。
他の方にもしつこくご挨拶。
「いらねーよ、もうタワーになるくらい持ってるから!」とは、りょくけんがなんとか松屋銀座に継続して出店できるよう便宜を図ってくださった方から。
今年もスーツが格好良かった。
ちなみに、毎年同じことを言われていおり、それもまた嬉しかったりする。
「不断の努力で改善してきたわけですから。本当に素晴らしいと思います。」とは、私が代表になって、最初にアドバイスを頂きに行った方から。
「どうですか。今年は。改善してきましたか。ーそれは良かった。」とか。
いくつも労いの言葉を頂いた。
円卓は、ほとんど毎年、同じメンバーなので、気さくにお話しできるようになった。
今年は突っ込んだ数字の話も聞いてしまった。
「人件費、社会保険料が上がってまして、、、どうしてますか?」とか。
ひとつ気になっていたのは、1か月ほど営業を休んでいたテナントさん。
実はとても仲良くさせてもらっている。
食中毒の報道があったのだけれど、結局、保健所に、そういうお客様からの訴えがあったのは1件だけで、食中毒とは認定されなかった。
翌日から営業開始しても良いですよ、と保健所から言われていたが、自主的に、お買い上げのあったお客様に、健康確認の連絡を実施した。
また、食材、調理器具なども検査してもらい、何も出なかった。
でも、報道とは酷だ。
「あれは、食中毒ではなかったですよ。」という報道はしないから。
なんだかなあと、話を聞いて思った。
だけれども、幸い、私が見る限り、営業再開してから、そこのテナントさんは変わらず賑わいがある。
17時半から20時半くらいまで。
最後は、万歳を三唱し、三本締めも行い、会が締まった。
最近では、万歳を三唱する機会なんてめったにない。
音頭を取る方たちも、違和感があると吐露していたけれど、私は、けっこうこの一体感が好きだったりする。