二棟あるガラスハウスの奥の方を覗く。
幼木が二列ある。。。
「あれ、これ、植え替えたんですか!?」
「ええ、だから、”ゆうばれ”を植えてみたの。」と奥様がニコリ。
「まだまだやる気だけはあるみたいだ。」と堀田さん。
堀田さんは、普通とか正統派に思い入れがあるが、かなりたくさんの品種の柑橘を植えている。
極早生も何種類も植えているし、早生みかんもいくつか。
普通温州は青島。
その間、12月1日を解禁日とするロイヤルルビーと言う赤みが濃いみかんも。
ロイヤルルビーは、銀座店でとても人気のみかんなのだけれど、昨年は不作かつ大玉ばかりで一玉も譲ってもらえなかった。
みかんは小玉が好きだからであるが…。
その後も紅八朔、不知火、河内晩柑などなど。
「たまたまよそでゆずってもらって食べてね。久しぶりに『あ~美味しい~これ作りたい。』って思った。」と少女みたいなそぶりをする奥様。
”ゆうばれ”は、熊本生まれの、高級柑橘。
熊本版の甘平とかせとかと言えば伝わるだろうか。
親は、はれひめとあすみ。
あすみは、今年、私も気に入った柑橘!
その、あすみとはれひめの掛け合わせであれば、絶対に美味しい。
熟期はハウスだと1月。
2月には販売できるようだ。
「ここの一列、唾つけておきますからね!何年後ですか!?」
「3年くらい後だね。」
「…そうですか!絶対譲ってくださいね。」
「ええ、もうどういう人か分かったから。」
そう、約束した。
再び軽トラに乗り込み、おそらく堀田さんの主戦場である山の畑に移った。
ぐるっと回ったから、分からなかったけれど、そこは、あの堀田家の敷地内の山だった。
ここに、極早生から早生のみかんが一通り植わっている。
「これが“みはや”。」
みはやは、11月ごろに収穫する、こちらも新柑橘だと思いきや、2012年には品種登録が済んでいる柑橘。
掛け合わせはややこしく…
アンコールと興津早生みかんを掛け合わせた“津之望”という柑橘と、清見と伊予柑を掛け合わせたコードネーム”No.1408 ”から生まれた。
「少し皮(=じょうのう、うち袋)が固いんだけどね。味は良い。」と堀田さんが言う。
「そう、うちの人はそういうんだけど、そう、味がとても良いの。」と奥様。
察するに、奥様が推して植えたのだと思う。
11月に収穫できるみかん以外の柑橘は、注目だ。
紅まどんなよりも早い。
前述したロイヤルルビーと同様、外観に優れ、赤みが濃いのだと言う。
私に説明しながら、二人とも、せっせと徒長枝を手で折っている。
徒長枝とは、上に伸びる新しい枝のことで、多すぎると、実を生らせる枝に行くはずの栄養を奪うと考えられている。
樹勢が強い木ほどたくさんできる。
「さ、暑いでしょう?」と再び軽トラに乗り込み、お屋敷に戻った。
倉庫も拝見した後、庭を見ながら、軒先でしばらくまた話した。
家族の事、これからの事、庭木の事、商売の事etc…
「いやあ、しかし贅沢な時間ですね。」
お二人を前にして、とても写真を撮りたかったのだけれど、なんだか憚られた。
庭も美しく、こちらも写真を撮りたかったのだけれど、こちらも躊躇した。
「たまに来た人にはそうかもしれないけれど、毎日いる私らには、ほんと大したものじゃないんだよ。」と堀田さん。
永遠に続きそうな贅沢な時間だったけれど、帰りの飛行機の時間もあれば、あと2件お邪魔する予定の農家さんがいる。
「そろそろお暇しますね。素敵なお時間を有難うございました。」
そう言って、心残りもあったけれど、贅沢な庭を後にしたのだった。
あと、スイカととうもろこし…間に合うかな…。