メロンを手ごろなものにさせたのは、マクワウリとの交配だ。
代表品種、というか先駆けだったのが、プリンスメロンだ。
今の上皇様が皇太子に即位したときにできたから、プリンスメロンと名付けたそうな。
今はさらに発展して、このプリンスメロン系のメロンとアールス系メロンを掛け合わせ、圧倒的に優れた品質を持つ非アールスメロンが生まれた。
その一つが、マリアージュである。
前に見たハウスのように一株一果にもできるが、一株から4~5果とるのがベスト。
樹勢の旺盛さには驚愕だ。
結実してテニスボールくらいの大きさになったときに、摘果し、良くできているものだけを残し、4~5玉だけにする。
大きくなるにつれ、果皮にひびが入り、そこを埋めるように、かさぶたが出来て、傷を覆う。
これが、メロンのネットだ。
プリンス系とアールス系のメロンを掛け合わせたメロン品種群を“雑メロン”と呼ぶことがあるが、この雑メロンの中で、マリアージュは極めてきれいなネットを形作る。
「この畑はもう明日から収穫に入るので、どこを進んでも良いです。」
繁茂した葉っぱたちを、どう踏んでも、もう大丈夫だと言われた。
けれど、やっぱりそれはできない。
空いているところに足を入れて、進んでいく。
「あれですよね、メロンは収穫期を迎えると、黄色の葉っぱが持ち上がるんですよね?」
「はいはい。これです、これが分かりやすいですね。」
メロンは、自分から最も近いところにある葉から栄養を吸収し、だめにする。
だめになった葉は黄色に変化する。
これが、ひとつの熟度を図る目安になるわけだ。
マリアージュは、食べた後のイガイガ感が出ないように育種されたらしい。
勤めていた津田さんが言うのだから、そうなのだろう。
「ほら、言わなくて良いの?」と奥様に何かを催促された津田さん。
「あ、僕、メロン食べないんです。」
ええ~~~~~!
「味見はしますが、丸ごと全部食べることはないんです。のどがイガイガするから…。」
衝撃の事実。
「でも、このマリアージュは食べられます。イガイガしないから。」
ついでにもうひとつ。
「ここのハウスは5月下旬で収穫が終わった後、ビニールをとって、田植えします。」
ええ~~~~~!
6月に田植えを行い、10月までに収穫し終わった後、1月中旬収穫のメロンを植える。
収穫後、またメロンを播種し、5月下旬にまた収穫する。
さすがに、お米の管理は、ご友人にお任せしており、収穫後、脱穀されて袋詰めされた玄米を受け取るだけだそうだが。
つまりは、3毛作ができるのである。
温暖な熊本ならでは。
「そういえば、麦もこのあたり多いですね?」
「あ、そうですそうです。僕も麦を作ってます。あ、いや、畑を貸しているだけで、その友人が管理しているんですが。」
3毛作の間に、米や麦を挟むことで輪作し、土が痩せないように努めているわけだが、けっこうびっくりする。