りょくけん東京

りょくけんだより
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メロン

メロンのハウスへ。

門をくぐると、立派なお屋敷があり、その左側に新しいお宅、手前には新しい立派な倉庫があった。

津田さん。
メロンでかなり頑張っているようだ。

「どうします、早速、ハウス見られますか?」
「はい!」

奥様と津田さんに連れられて、メロンのハウスへ。

メロンの原生地は、北アフリカから中央アジアにかけての砂漠のような土地柄。
最近、インド中西部のインダス渓谷という場所で、紀元前2000年のメロンの種が遺伝子的に認められたそうだが、私はこれは、ウリの祖先だと思っている。
ここから甘くなったものがメロン、野菜などに進化したものが、きゅうりやウリなのではないかと。

歴史的に、はっきりと甘くなったと思われるのは、エジプトを経てヨーロッパに渡ってから進化したものと、イラン(ペルシア帝国)に伝播して発展していった品種群だと思う。
優れた品種は、ヨーロッパとアジアを結ぶシルクロード沿いの産地に集中していたそうだから、“メロン”としての品質を確立させたのは、やっぱり砂漠のような場所なんだと思う。

何を言いたいかと言えば、優れたメロンを作るには、雨を避けなくてはいけないのが、この日本でも常識だからだ。
古今東西、日本広しと言えど、メロンの経済栽培は、トンネルハウスかビニールハウスを使用する。
一定の大きさになった後は、水を絶つ。
こうすることで糖度が上がるので、少なくとも、温暖湿潤なところで生まれたものではないのだと思う。

津田さんのメロンのハウスは7~8か所に分かれており、それぞれのハウスで、やろうと思えば3毛作ができる。
簡単に言えば、1年を3回に分けて、4か月ずつ播種と収穫を行い、3回収穫ができるということ。
そうやって、一年間、メロンをできるだけ切らさないように育てている。

最初に案内してもらったのは、夏の贈り物=お中元を企図したメロンのハウス。
品種も、アールス系の香りのある緑肉品種を選択している。

メロンはどこで高級か手ごろなものになるかと言うと、栽培方法とそれに適した品種だ。

アールス系の品種がなぜ高級かと言うと、作りづらい気難しい品種もさることながら、その栽培方法だ。

一株からいくつもツルが伸びるのを一定の長さで1本にするし、そこから一玉しか育てない。
立体栽培とも言い、支柱となる紐を立てて、ツルをまるで木のように縦に伸ばし、十節目以降で、結実した中から、一番良い玉だけを残して、他はすべて切る。
こうして栄養を成長させるのだ。

ハウスの中は、まだ成長途中で、受粉も終わっていない段階。
メロンには、雌花と雄花があり、ハチを放って交配を行う。
品種によっては雌花の中に花粉を持つものもあり、交配をしなくても受粉するメロンもあるとか。


↑雄花


↑雌花

「ごめん、そこの、その列のツル巻いて。」

ニコニコとメロンの特性を教えてくださっていた津田さんが、少し気になったのか、違う列にいた奥様に指示した。
ツルはどんどん伸びていき、うまく紐に巻き付かないふらふらしたものを見つけたら、すぐ人力で紐に巻き付けてやるのだ。

そういうと、自身も気になったのか、目の前のツルを紐に巻き付け始めた。

「あとひと月もするとこのハウスは、ホント、映える畑になりますよ。」

一つ一つの株に、メロンが生り、宙にぶら下がり、立ち並んでいる姿が目に浮かぶ。

「あ、そうだ、りょくけんさんの名前入りのメロン、仕込んどきますよ。」
「あ、いやいや、そんな滅相もないです。」
「いやいや大丈夫です。本当に。」

一定の大きさのメロンに、りょくけんの文字の紙型を貼っておけば、その跡が残る。

「お店に、飾っといてください。」
「いやいや…。」

せっかくのメロン。
それは勿体なさすぎる。