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なつみ 南津海 柑橘

なつみ。

久々に売場に立ってみて、ちょっと品数や彩りが足りないと感じた。
厨房に入ることも多く、メニュー作成などにも力を入れていたけれど、少し軸足が寄り過ぎていたか。

この時期、人気アイテムであるカラマンダリンは、人気過ぎて早々に完売。
例年よりも多く確保したのに。

5~6月の国産フルーツはとても難しい。

絶対的にアイテム数が少なく、ハウス栽培を駆使して、前倒しにしたり、一般的には、輸入フルーツを打ち出すことが多い。

カラマンダリンのように、手で皮が剥ける柑橘は重要だ。

ハウスみかんが始まるまで、まだ2~3週間はある。

例年であれば、南津海(なつみ)という柑橘がある。
今年は、いつもお願いしていた愛媛のものが、カメムシなどの被害などで収穫できなかった。

カラマンダリンとポンカンの掛け合わせの柑橘で、みかんのように手で皮が剥けて、種は入るものの、糖度も高くじょうのう
(うち袋)が薄いのでとても食べやすい。
山口県の大島で生まれたが、品種登録はされていない。

あまりにもカラマンダリンと似すぎていて、登録が通らないからではないかと、農家さんから聞いたこともある。

ふと思いついて、和歌山の代理店である紀の国りょくけんさんに電話してみた。

「今の時期にもまだとれている柑橘ありませんか?セミノールとかどなたか作っているような…カラとかなつみとか。」
「ああ、今ちょうど持ち込みに来た農家さんが作ってますよ。今帰ったから、少ししたら電話してみましょう。」

以前は、私もよく和歌山の山々を、代理店の方と一緒に車で駆け回ったことがある。
梅や紀の川柿、山椒は、その成果だ。

しばらくしてから、折り返しの電話があった。

「”なつみ”がありました!」
「やった、なつみ、良いですよね!どなたが作ってるんですか?」
「中村さん。」

名前を聞いて、ぱっと思い出した。

「二十年前に会ったことあります!やった、なんか嬉しい!」

二十数年前、紀の国りょくけんの私の担当者だった中山さんに連れてもらって、中村さんの清見を見に行った。


1~2月に収穫するところ、4月くらいまで樹にならせて収穫すると案内されたっけ。
ヒヨドリに食べられてしまうので、ネットをかけて育てるのだと。

中山さんが引退してからは、少し足が遠のいていた。

その時お会いした清見の生産者、中村さんがなつみを育てていると聞いて、とても嬉しくなった。

あれ、当時からもうすでに白髪だったような覚えが…。

「もう70過ぎたおじいちゃんですよ。足も悪くて。」とのこと。

和歌山、みなべの中村さんが作る貴重な、手で皮が剥ける柑橘、なつみ。

おすすめだ。

■南津海(なつみ) 和歌山県 約1kg 1620円(税込)~