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yuzu ゆず 柑橘 産地情報

高温予措。

「昨年は本当に助かりました。」

いつものゆず農家さんから今年は出せない、と言われ、知見を活かして、高知か徳島で探した。

「今なら、ちょうど、輸出に使おうと思ってやめたものがあるので、お出しできます。」と弊社にも中村さんにもタイミングが良かった。

有機栽培したゆずのなかでも、外観が特に良いものを譲ってもらった。
栽培した全ゆずの中で、一割にも満たない、貴重なものだった。

ちなみに、ゆずは、早生みかんと同時期のもの。
11月には収穫を終える。
年末年始に使いたいが、その時期には、傷む。

「高温予措と言いまして、収穫後に、30度の熱に当てるんです。うちも11月に収穫しますが、それをすることで、2月くらいまで日持ちします。」

予措(よそ)は、専門用語である。

みかんを除く多くの柑橘は、収穫後、低温あるいは定温の場所で、保管する。
その目的は、もっぱら酸抜けだと思う。

収穫後も、柑橘は呼吸を続ける。
その時のエネルギーとして最初に使うのが“酸”だ。
酸を消化することで、酸が抜け、本来持っている糖度を感じることができる。

最近生まれたオレンジとみかんの掛け合わせは、糖度が高いのだけれど、同時に酸味が強いものが多い。
その酸味を上手に予措をすることで、落ち着かせているわけだ。
デコポンしかり、甘平しかり、せとかもしかり。

高温予措は、察するに、高温に当てることで、傷みの原因となる余計な水分を取り除き、果実を締まったものにする。

あるいは、雑菌を減らす役割もあるかもしれない。
”高温”と呼んでいるが、果実に致命的な影響を与えないくらいの、低温殺菌あるいは”50度洗い”みたいな感覚か。


「収穫直後の鮮度感にはね、さすがに適わないんですが、予措をしたものと、一週間後に見比べると、やっぱり予措をしたものの方が、ずっと鮮度感があるんですわ。」

ロケーションも、こだわった、手数をかけて育てる考え方も素敵。

この出会いを大事にしたいと思った。

「りょくけんさんのようなところに、こうして来ていただいて、とても光栄です。」

え…!
そんなそんな…。
恐縮してしまう。
再び、切り返して、切り返して、来た道を降るのだった。