りょくけんでは、野菜の原生地の環境というものを大切にしている。
でも、日本原産の野菜くだものというのは極端に少ない。
今、私たちが食べている野菜くだもののほとんどが、海外が原産である。
日本に流入、あるいは導入された時期は、おおよそ4つの時期に分かれると思う。
・奈良時代以前。
・江戸時代。
・明治以降。
・戦後。
明治以前のものは記録が、大和本草などの書物によって伝えられているからかもしれないけれど、おおよそ奈良時代と江戸時代に集約されている。
明治時代は、国を豊かにしようと政府主導で北海道に合致する作物や、欧米で一般的な野菜やくだものを導入した時期。
じゃがいもや玉ねぎ、西洋人参などもこの時期だと言って良い。
戦後、食の西洋化に伴い、トマトやセルリー(セロリ)などが広がった。
実際には、トマトは江戸時代にすでに伝えられているのだけれど、毒があると信じられ(実際に毒を有する品種も南米にはあるそう)、もっぱら観賞用だった。
セルリーも一度、導入されたけれど、風味が当時の日本人に受け入れられず、広がらなかった(たしか加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち帰ったのが記録として残っている)。
奈良時代は、農業技術も肥料も農薬も道具も、まだあまり進んでいなかったから、本当に、日本の気候に合致するものだけが根付いた。
かぶ、大根やなすなどがそれである。
全国各地に広がり、各地方ごとに独自の品種があるのが特徴である。
なすは、高温多湿のインド北部が原産のため、日本の気候風土に合ったわけである。
一般的には関東では中なすである“千両二号”という品種が横綱。
九州などに行くと、長なすが一般的で、こちらの横綱品種は“筑陽”だ。
それ以外に、在来の品種が多く、京都の加茂なす、各地に存在する丸なす、白なす(緑なす)、赤なす、ひもなす、50㎝くらいにもなる長なすも存在する。
多くの丸なすは皮が固く、焼きなすなどにして、皮だけを残すような食べ方がある。
長いなすは、皮がやわらかく、アクが少ない傾向がある。
そしてまた強い特徴があるのが、水なすだ。