「あ。」
少しだけ早めに家を出発できた朝。
JRの改札を抜ける瞬間に見えた円表示に、しまったと思った。
電車賃が足りない。
中小企業の代表をやっていると、こういう時がある。
事務所まで行けんな。
「お金がないなら、知恵を使え。」
いつぞやに聞いた、スタッフさんのお爺様の金言が頭の中をぐるぐる回った。
満員の電車に揺られながら、どうすれば事務所に辿り着けるか考えた。
正しくは現金がない。
ICカードの残金も足りない。
現代はキャッシュレスの時代。
都内であれば〇〇ペイやクレジットカードでほとんどが用足りる。
ところが、都営地下鉄は、普通の乗車券が現金でないと買えない。
いや、もしかしたら、購入できるようになっているかも。
そう思って、スマートフォンを取り出し、少しだけ隙間ができた電車の中で調べてみた。
私の想像を超え、クレジットカードのタッチ機能で、改札を通れるようになっているようである。
そういえば、欧米の都心では、日本のようなSuicaではなく、クレジットカードのタッチ機能で
改札を通れるのが普通らしい。
SuicaなどのICカードが発展した日本はこの分野でもガラパゴス化しており、欧米人や欧米通から見ると
”立ち遅れている”と何かの記事で見たことがある。
でも、すでに、そのクレジットカード対応の改札が都営地下鉄でも導入されている、と私のスマートフォンは教えてくれた。
なんだ。
と思ったが早いが、”導入駅一覧”なる項目があり、そんな最新の改札を導入している駅はほんの一部であることが分かってしまった。
普通の乗車券がクレジットカードで買えるのかが知りたいのだ。
定期券は買える。
最低限、定期券を購入すれば、事務所には行けるようだ。
さらに、特別な券は買えるようだ。
特別な券。
都営丸ごと切符や一日乗車券なら購入が可能とのこと。
少し割高だけれど、それならば一日乗車券を購入しよう。
クレジットカードで。
ほっとしたところ、さらなる有益な情報があった。
現在、世間はゴールデンウィーク中なので、ワンコイン一日乗車券の対象日となっており、
なんと、500円で、都営地下鉄線が乗り放題であることが分かった。
会社の最寄り駅まで片道で272円。
往復で544円であり、完全に黒字であることが分かった。
ほっと胸をなでおろしたことは言うまでもない。