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解決。


どうしても、納得できないことがあり、裁判権を行使し、東京地方裁判所で訴訟を起こしていた。

事前の勉強不足だったことは二つ。

1)裁判費用
 裁判権は、国民の誰にでも認められている権利で、それは中学校の3年生の時に習った。
 その手数料は、相手方に請求している金額によって決まっていて、請求金額や賠償金額が大きければ大きいほど、手数料は高くなる。

2)簡易裁判所か、地方裁判所か。
 訴える場所も、請求金額によって違った。
 実のところ、訴訟状を、当初は簡易裁判所に提出に行ったところ、ある程度、進んだ後に、ここじゃないですと、地方裁判所が入る、別の建物を案内された。

訴訟の書式を裁判所のホームページからダウンロードできるのだけれど、その宛名が、簡易裁判所のものしか見つからなかったので、足を運んでしまった。
格好悪いが、”簡易”の箇所に二重線を引っ張って、社判をつき、”東京地方”と上から書き足した。

1回目の公判は二週間前。
20分ほどの持ち時間後、裁判官の提案に従って、公的な法廷から移動し、準備室というところで、比較的ざっくばらんに議論した。

こういう経緯だったんじゃないかと主張したところ、裁判官の方から、「書面でその証拠を出してください。いつまでにできますか?」と質問があったので、「準備書面で?では今週中に。」と回答。
「そんなに早くできますか。では二週間後に2回目の期日を設けます。」

そんなこんなで2回目の期日。

ざっくばらんに議論できる準備室で、陳述開始。
相手の方は、極めて口数が少なくて、、、1回目と違い、反論が出なかった。

「では個別に話したいので。」と交代で私や相手の方が退室と入室を繰り返した。

裁判官の方から、和解案が出された。

もっと、議論が繰り返されるものと思っていたので、予想外の流れで、言葉に窮した。
何というか、相手側は完全に非を認めてくださっている。
真実も知りたかったし、徹底的に白黒つけることもできたけれど、裁判官の方のご提案は、常識的だった。

私も相手の方も、小さな会社である。
たとえ勝訴しても、その金額がきちんと支払われる確率は、全体の14%という実績だそうな。

12年も社長業をやっていれば、いや、社会人を四半世紀もやっていれば、理由はいろいろ、どちらの判断にも、つけられるようになっている。

がーっと考えを巡らせた後、自分の本業は”八百屋である”という考えに至った。
1年くらいかかるだろうと思っていた、いわば公的な争い事が、今日ここで解決し、また笑顔で商売に携われるのなら、その方が健全だと思った。

「では、それでお願いします。」と裁判官の方にご返事した。

民事一部の広い部屋に、準備室から出た裁判官の「解決!」という声が勢いよく響き渡った。

裁判所が入る大きなビルを出た。
空は晴れていて、日比谷公園の桜や花々がとてもきれいだった。

その夜の晩御飯にて。

「え?とーちゃん、本人訴訟してたの!?」

と長男から思いもよらない単語が出てきた。
弁護士さんに依頼せずに、本人が訴訟を起こすことを”本人訴訟”と言う。

「なんでそんな言葉知ってるの?」と聞くと
「リーガルハイを見たから。いや~面白いよね!」とのこと。
「勝ったの?」と聞かれた。
「う~ん。示談。いや和解。いや、”解決”っていうのか。」
「だめだよ、徹底的にやらなきゃ!」と進言があった。

確かにそういう話もできた。

「でもね。」と続け、解決の判断をした自分の考えを伝え、長男に諭した。
「うーん、そうかあ。」と納得したような、していないような。

ま、現実と、面白いドラマは違うのだ。

早めに床に就いて、灯りを消したが、まったく寝付けず、眠れなかった。