「それならこんなはどうかな。」
チャチャチャチャとりんごを持ってきて、スライスして、スチコンでグリルして並べて、
「うん、これが良い。」
とあっという間に決まった。
焼きりんごのサラダの、美味しさとかコンセプトは良いと自負していたけれど、盛付が今一つだった。
店長と厨房の優秀なスタッフさんが知恵を出してくれ、三者が納得いく盛り付けが決まった。
黙々とストーブの仕事をこなしていた新入社員さんに、できあがった盛り付けを見せると、
「おっ」
と驚いてくれた。
ただ、ドレッシングの意見が割れた。
心の中で、絶対バルサミコドレッシングと思っていたのだけれど、試験的に合わせてみたヴィネグレットドレッシングがとてもうまい。
「美味しんぼ第34巻」に、サラダ勝負の話がある。
登場人物が百貨店やスーパーの無数に売られているドレッシング売場を見て「人間は本質的に生野菜が嫌いだ。」と言い放つ場面がある。
なるほどと共感しつつ、りょくけんであれば、その野菜の美味しさを前面に出して、美味しさをアピールできると思ってきた。
何が言いたいかと言えば、ドレッシングを主役には据えたくない気持ちがある。
ただ、残酷なことに、ドレッシングにこだわった方が、販売は、やりやすい。
これは間違いのない真理だと思う。
新しいサラダをお客様にご提案する際、特別なドレッシングの存在が、購買までの壁を少し下げる。
普段、ご提供していないバルサミコドレッシングは、特別感が出て、常連のお客様も手に取りたくなるはず。
「じゃあ、前半はバルサミコドレッシングで、後半はヴィネグレットドレッシングで!」ということにした。
「私は絶対、ヴィネグレット。」と何度も言われたけれども。
「ごめんね、でも、そういうご意見は、私がどんなに採用しなくても、呆れずに、必ず言ってください。」と申し上げた。
これも、経営する上で大事な真理だと思う。
そんなこんなで、焼きりんごのサラダ、本日よりデビュー。
試食してもらった通販スタッフさんの評判は上々。
「びっくりするほどうまいっすね。」
「うん、かなり食べ応えがありますね。」
「りんごは何を焼いたんですか?」(基本的に、グラニースミス) などなど。
期間限定販売。
見かけたら、ぜひ。
■焼きりんごのサラダ 1p 864円(税込)