「こないだ送ってもらったあのりんご、これよ。」
「こんなにするのね。」
銀座店では、聞き覚えのあるお客様同士の会話だ。
ご贈答でもらった商品の値踏み(?)をしている。
「このりんご、知らないわね。」
「あおりん? え、もしかして”おうりん”? おうりんってこんな字だったかしら?」
こちらも良く聞く会話だ。
「”せいりん”って読みます。王林は、王様の”王”に”林”で、おうりんと読みます。りんごの王様に、という願いが込められたと言われています。」
青に林と書いて、”青林(せいりん)”は、抜群に知名度がない。
岩手県内の国の育種場で生まれたりんごで、親は”レッドゴールド”。
名前が微妙だけれど、レッドゴールドは赤いりんごだ。
やや小粒で、少し樹に置いておくと、果肉中に蜜が入り、とても美味しいのだけれど、数日で果肉がモサっとなってしまう。
そんなレッドゴールドの枝変わりが、青林。
青林は外観が致命的に悪く、左右対称にならない。
お尻も不格好に広がってしまうりんごで、販売側が黙っていたら、かなり売れないりんごだと思う。
ところが、親に似て蜜入りがとても良く、食味も良い。
親に似なかったのは、固く、日持ちが良いことと、赤ではなく、青い皮で生まれ変わったことだろう。
栽培をお願いしているのは、青森の奈良岡さん。
というか、青林を栽培している方を探していたら、奈良岡さんに辿り着いた。
「青林、譲ってほしんです!」とすぐに電話をしたら
「困ったな。」
「なんでですか?」
「美味しんだけど、あんまり売れないから、今年で切ろうと思ってたんですよ。」
「切らないで残してください、うちが売りますから!」
青林は、私と奈良岡さんを結んでくれた青りんご。
「それより名月の方が良いと思うよ。」とポツリと言われたっけ。
あれから十年ほどが経つ。
青林をお好きなお客様も増え、りょくけんではなかなかの人気を持つ青りんごだ。
今年は、生育が良かったようで、年が明けてからも、まだ販売できている。
しっかりした歯ごたえ。
りんごらしい、正統派の風味。
蜜入りの良さ。
聞いたことがない!という方はぜひ、召し上がってみてほしい。
■りんご(青林) 青森県産 約3㎏(10玉前後) 3888円(税込)~
https://www.shop-ryokuken.com/