長崎港は、思いの外、大きい港だった。
それもそのはず、長崎は島が多く、高島だけでなく、五島列島に向かうフェリーもそこから出ていた。
10数年前に、高島に行った際の港は、こんなに大きかったっけ?と面食らうほどだった。
なにせ、駐車場がどこにあるかも分からなかった。
一般的に、地方の港であれば、港の波止場のすぐ隣に、平置きの駐車場が広がっている。
今回も、そのイメージだったが、4階建ての有料駐車場が隣接されており、益々面食らった。
「大森社長、お待たせしました~」
にこやかに、黄色のウィンドブレーカーを着た木下さんがいらっしゃった。
伊王島港から長崎港まで、私に会いに来てくださったのだ。
「本当にすみません。。。」
深々とお辞儀をして謝罪した。
「いやあ、良いんですよ、そういうこともあるある。またね、いらしてください。」
「いやいやそうなんですけど…。」
「島のみんなも楽しみにしとったですよ。事務の女性もね、『りょくけんの大森さんて前にも来た事がある、十数年ぶりじゃないか』ってね。」
「え?」
ますますショック。
しばらく、出荷スケジュールなどを話した後、波止場で写真を撮って、別れることになった。
「車はどちらに停められたんですかね?」
「あ、いつも納品に停めるあそこにちょいっとね。」
港の建物のすぐ脇にあるスペースに車は停まっていた。
なにやら厚着の警備服を着たガードマンさんが仏頂面して立っている。
「なんかまずそうじゃないですか?」
「そうやね、いつもの人じゃないね、なんか謝らんといけんかも。ほいじゃ、大森社長、また会いましょう。」
直角に近いくらいの角度で、警備員さんに謝っている姿を見た後、私に手をほがらかに降ってくださった。
車のフロントガラスに、何か貼られているのが見えた。。。
ー駐車違反だ。
あ~私は何をしに来たのだろう、こんなに他人様に迷惑をかけて…。
益々マインドが落ち込んでしまった。
乗る予定だった同型のフェリー。