鹿児島県は、九州本土の最南部に位置する。
つまりその、かいつまんで言うと、温暖だ。
鹿児島空港に着き、さっそうと出口から外に出ると、冷たい風がピューッと吹いているのがすぐに分かった。
何年かに一度しかない寒波が九州を突如襲っている。
九州を寒波が急襲…。
晴れ間は見えるものの、雪のようなものもちらついている。
鹿児島空港には足湯があり、浸かってみたかったが、先を急いでいたので、写真を撮るだけにした。
帰る時に浸かっていこう。
その時はそんな風に思っていた。
薩摩川内(さつませんだい)に行き、その後、指宿まで足を運ぶ。
たしか、指宿から鹿児島市あたりの道路は混みあう。
発の飛行機に乗り遅れないよう、今から注意しなければ、と考えていた。
レンタカーを借り、まずは一つ目の目的地である薩摩川内市祁答院町藺牟田に向かった。
祁答院町藺牟田。
果たしてなんて読むのだろう?
と思っていた地名。
薩摩川内だって、初めて見た方は、”さつまかわうち”と読むだろう。
”さつませんだい”なんて、最初は読めないはずだ。
実際には、新幹線の駅もあり、大きな市だ。
祁答院町藺牟田は、”けどういんちょう いむた”と読み、元々独立した市町村だった。
先に藺牟田村があり、1955年に合併して祁答院町が生まれた。
2004年の平成の大合併時に、薩摩川内市に吸収合併され、祁答院町藺牟田とひとつながりの地名になったようだ。
祁答院は、地元にある祈祷院新興寺の”祈祷院”がなまったものと言われている。
古くから豪族が存在していたようで、祁答院氏を名乗った。
藺牟田は、イグサ(井草、伊草、藺草)が繁茂していたため、名付けられたそう。
藺牟田池は水鳥がやってくる池で、野生動物を保護する国際条約、ラムサール条約でも保護地域に指定されている。
目的地に近づくと、“大クス”や”藺牟田池”、”世界最大の水車”と言った看板が目に入り、立ち寄りたかったが、約束した時間が迫っていたので、いずれも断念した。
町内に入り、山を少し上がると、一際大きな建物があり、藺牟田小学校だった。
「155年ありがとう。2024年3月閉校」と大きな垂れ幕があった。
そういえば、町内に入ってから、まだ人影を見ていない。
「2024年…。今年か…。」
小学校を過ぎてすぐ、一つ目の目的地である松田さんの金柑畑に辿り着いた。
軽トラと事務所、畑を忙しく動き回っている方がいた。
松田さんだ。
白髪だけれど、背中は伸び、やせ型だけれど、体躯も良い。
「こんにちは~」とまずは挨拶を交わした。