さつまいもは収穫後、13度で貯蔵することで日持ちもし、糖化して甘みを増す。
その期間は、おおよそ3か月。
最低でも1か月は貯蔵しないと、甘みがない。
おおよそ9月が収穫時期なので、年内は、甘いさつまいもは食べられないことになる。
13度以下でも13度以上でも、長く貯蔵すると腐敗が始まる。
熱帯原産のさつまいもは、なかなかに気難しいのだ。
ところが、2000年代から、経験的に知られいていた”より低温に当てると、甘さを増す”という事実を
科学的に、統計的に裏付ける動きが生まれた。
時間がある方は以下の研究書類を見てほしい(学術的なものなので、とても読みづらい)。
収穫後のサツマイモへの低温処理が糖含量ならびに貯蔵性に及ぼす影響
つまり、貯蔵するには13度が最適、と言われていたが、それよりも低い温度に当てると、糖化が進む、という事実が理論化された。
さつまいもの糖分は、スクラロース(=ショ糖)、フルクトース(=果糖)、マルト―ス(麦芽糖)、グルコース(ぶどう糖)の4成分が含まれている。
糖化の方法は二つ。
1.5度で1か月貯蔵する。
でんぷん質が酵素の働きで、スクラロースになり、甘みを増す。
2.10度で1か月貯蔵する。
フルクトースの割合が増え、甘みを増す。
フルクトースは他の糖分、例えばスクラロースの1.4倍甘いため、甘みを増す。
ただし、1.のやり方だと、糖化後の腐敗が早まることが分かった。
ただ、対策もわかり、低温に当てる前に40度に二日間置くと、糖化後の腐敗が少なくなった。
1.のやり方は一工程増えるので、やや手間になる。
この事実を知っているか知らないか、あるいは設備を持っているか持っていないかで、さつまいもの差別化が大きく変わるわけだ。