松屋銀座店地下2階にある共同厨房で働いていると、内線が入った。
「道法さんいらしてますよ。」
道法さんは元同僚で、現在は自身の農業方法を体系化し、道法スタイルとして、海外も含め全国を回り、農家さんたちを指導している。
柑橘のプロで、販売も栽培も上手な方だ。
現在、りょくけんでは道法さんが故郷で作るレモンを販売している。
広島と愛媛の間、瀬戸内海に浮かぶ豊島(とよしま)は、人口1000人ほどの小さな島だが、他の島と違い平坦で、気温が一年を通して安定しており、レモンの越冬栽培が可能だ。
ここで、1年以上、木の上にならせておくことで、夏のレモンが可能になっている。
つまり、今販売しているレモンは2年目に入ったレモンであり、その隣ではもう緑の一年目のレモンが実をつけている。
「親戚の集まりがあっての、ちょっと寄らせてもらったんじゃ。」
年配の方の言葉に聞こえるかもしれないが、普通の広島弁で、若手でもこんな感じで、”わし”とか”~じゃ”を普通に使う。
しばらく店頭で、昔話やこれからの話をして、同行していたご家族の方にもご挨拶し、その場を離れた。
農家さんが店舗を訪ねてくださる。
有難い話である。
ーーー写真撮っておけばよかった…。