「ほら、あの人。」
「ええ~?」
「朝、テレビでやってたアボカドの人…」
10時20分ごろ。
母娘のお客様が私とアボカドに視線を向けながら遠巻きで話している。
”アボカド”だけはっきりと聞こえたので、「はい、こちら国産のアボカドで、大変貴重なんですよ。」とお声かけすると、「お兄さん、テレビ出てましたよね?」と言われ、赤面。
9時30分ごろの番組なので、ご近所なのだろう、反響の速さにびっくりした。
そこから1時間ちょっとで、店頭のアボカド在庫は完売。
その後もしばらく問い合わせの電話や直接ご来店いただくお客様が絶えなかった。
それなりに在庫は持っていたのだけれど、せっかくご来店いただいても、ご期待に沿えないのが残念だった。
国産のアボカドは、美味しい。
味があまりないアボカドでも、その違いがはっきり分かるほど、濃厚でコクがある。
番組では、皮の薄さにも触れていたっけ。
お店ではオープンした18年前から、取り扱っている。
外国産がメインで、国産に切り替えたら、すごく売れるだろうと、当時思っていたのが4品目あり、それが、
・グレープフルーツ
・ブラッドオレンジ
・パプリカ
・アボカド
だった。
予感が当たったものもあれば、そうでもないものもある。
アボカドも、決して順風満帆だったわけではない。
何しろ、入荷が安定しない。
ご縁があって、というか、当時は会社の同僚だった道法さんからまず譲ってもらった。
雑草を抑えるのにベストだということで、生まれ故郷の島で、アボカドを育てていたのだ。
それから、日本のアボカド研究者の第一人者である米本さんと言う方に連絡し、和歌山の生産者さんのルートを広げ、実際に経済栽培を確立しつつあった、安藤さんと言う方にもお会いして色々教わった。
愛媛でも広く栽培していると聞き、愛媛の松山へも直撃。
鹿児島県の離島 徳之島では「今年、アボカド植えるから。」と言ってくれた。
その場で、日本生まれの品種もあることも知り、ますます増えると思った。
アボカドは隔年結果と言って、豊作と不作の年が、どうも交互にやってくる。
2021年はとてもたくさん収穫できたので、2022年は、本当に少ない。
2021年はやや、販売にも苦労した。
ただ、良い年も悪い年も、買い続けてくださったお客様がいたことで、今までつなげることができた。
産地を増やそうという気持ちも生まれた。
今回のテレビ放映で、少しでも、この国産アボカドにご興味をお持ちいただき、一時期ではなく、支えてくださる方が増えるのを願っている。