田舎の家は父の実家である。
父の兄が一人で住んでいるが、夏休みや冬休みには何泊かするのが恒例となっている。
その裏にそびえる日向山(ひなたやま)には、真っ白な仏舎利塔が立っている。
なぜこんな田舎に、ひっそりとこの仏舎利塔が立っているのか、その理由は、たぶん、これだ。
息子4人と朝6時半に起床。
外に停めていた愛車が全体的に凍っていて、毎度のことながら驚いた。
鍋とやかんにお湯を入れて、ゆっくりと溶かす。
フロントガラスさえ見えれば…。
車で行けるところまで行き、あとは登山道に沿って、山に登る。
4歳の四男は初めて登るので手をつないで進む。
12歳の長男と9歳の次男は先頭を切って、どんどん登っていく。
7歳の三男は、しばらく後方の私たちを気遣ってくれたが、ある程度進んだ後は、上の二人を追いかけるように付いて行った。
あたりがだんだんと明るくなっていく。
まだまだ寒い中、20分ほど歩いて、頂上に辿り着いた。
すでにたくさんの人が待っており、お経を読む住職さんの他、檀家の方々がボランティアで豚汁や甘酒を用意してくださっていた。
山々に囲まれた盆地の底では見えない富士山が、日向山からは見ることができる。
上の三人は寒そうに、手をジャンパーのポケットに突っ込みながら、私と四男の到着を待っていた。
「どんくらい待った?」
「10分くらい!」
あたりが白み始め、富士山の右肩の雲が輝き始めた。
「見に行こう!」
群衆の一番前に陣取り、太陽が出てくるのを待った。
そう、日向山の頂上と思われる場所からは、富士山の頭から出てくる初日の出を拝むことができるのだ。
私が察するに、だから、この何もない場所に仏舎利塔が建てられたのだと思う。
日蓮宗の読経も最高潮になり、みるみるうちに太陽が姿を現した。
一気に暖かくなるのが分かる。
長男と「太陽って偉大だね。」と言い合った。
太陽が昇りきった後、世界平和を祈って、万歳を三唱。
気持ちの良い朝になった。
お神酒もいただき、暖かい、というか熱い熱い豚汁と甘酒をごちそうになった。
息子たちは慣れたもので、子どもにふるまわれるお菓子の列に並び、抱えるほど頂戴して、大喜びだった。
次男が、松屋銀座の買い物袋を持って向かったので、さすがに、それはやめておけと制止した。
子どもなりに、たくさん手に入れようと考えていたようだ…。
山に登ってご来光を拝むのは、なんだか達成感がある。
息子たちの成長も如実に感じた。
今年もまた一年。
公私に精進したいと思う。