なんとなくの情報で、”病院食はまずい”とは、誰もが聞いたことがあるだろう。
でも、実際経験してみて、そんなことは決してない、って思った。
運ばれてくるお盆の料理は温度帯がきっちり管理されており、例えば、おかゆや主菜、スープは暖かく保たれているが、りんごのコンポートなどはきちんと冷やされていた。
もちろん、衛生の保持の問題もあるのだろうけれど、とてもきちんとしていた。
献立の工夫やバリエーションも豊かだった。
手術前の最後の晩餐。
消化しやすいようにおかゆやおなかに優しそうな食事。
五分がゆ、くたくたに火が通ったじゃがいもとにんじんの肉なし肉じゃが、赤魚の煮つけ、ヨーグルト。
かまなくても良いくらいやわらかく、ほとんど脂質が無い栄養設計。
手術後は7食、絶食。
点滴で、ブドウ糖を供給され続けた。
満腹中枢に働きかけるのか、思ったほどお腹が少なかった。
絶食明けの食事は。。。
予告されてはいたけれど、流動食だった。
そんなこと、忘れていた私は、三つのマグカップを前にして、絶句した。
重湯(お米を溶かしたお湯、、)、卵黄入りコンソメスープ、ヨーグルトジュース。
個体はほぼ、無い。
看護士さんから「全部食べられましたか?」という優しい問いかけにも、苦笑するしかないほど、あっという間の食事時間だったのを覚えている。
それでも、久々の食事が感動的で、かみしめて(?)食べた。
二食目も、流動食。
重湯、ホットミルク、ピーチジュース。
ホットミルクとピーチジュースの二本立ては、ちょっと、アレだった。
妻から、アマプラで映画でも見たらとアドバイスがあり、なるほど、と”機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ”を見た。
アムロとシャアの二人とも好きなのだけれど、ニューガンダムが登場する”逆襲のシャア”に続くガンダムの話。
高校の時に、友人が、逆襲のシャアよりも続編の”閃光のハサウェイ”の方が面白いよ、と言ってたっけ。
小説で上下巻あった気がする。
90分の長さに収められたのか~と思ってみたら、まあまあのところで終了。
調べてみたら三部作の予定だそうな。。。
21時に消灯。
続きが気になってかえって眠れなくなってしまった。。。
夜が明けて、6時に電気が再びつく。
看護士さんの検温で起きる。
朝食も再び流動食。
重湯、具無し味噌汁、牛乳。
味噌汁は塩気が控えめだったが、めちゃくちゃ出汁が利いていて、これはこれで美味しかった。
家庭で味噌汁を作る際、味噌は結構使う。
薄いと物足りないからだ。
こういう作り方も面白いと思った。
昼食から、いよいよ三分がゆに昇格。
オニオンスープ、八宝菜、おひたし、桃のコンポート。
いずれもかなりやわらかくゆでられており、あまり咀嚼を必要としない。
鶏肉のひき肉が八宝菜に入っていて、やっぱり嬉しかった。
翌朝も、三分がゆ。
白身魚のチーズ焼き、カリフラワー、チーズ春雨のなます風と牛乳。
退院直前は、いよいよ五分がゆにランクアップ。
麻婆豆腐とお麩と三つ葉のおすまし、ほうれん草とにんじんの煮物、バナナ。
結局、病院内で8食、食べさせてもらったが、同じ献立はなく、栄養士さんや献立を決める方には本当に頭が下がった。
そして、おかゆは、食べた時には物足りないけれど、お腹が膨らみ、空腹を和らげてくれる、優れた食べ物だと思った。
黙ってベッドにいても毎食、運ばれてくるのは、やっぱりありがたいことだった。
食事の事を書いてしまったが、やっぱりお医者さんにもちろんだけれど、看護士さんには感謝でいっぱいだ。
朝番の方は8~16時、遅番の方は16~翌朝の8時まで働く。
昼間は一人の看護士につき7人の入院患者さん。
夜は12人を担当するそうだ。
その間、検温、採血、体内酸素を一日3回測り、点滴を交換し、動けない患者さんには、清拭もするし、おむつの交換、洋服の交換も行う。
夜中、ナースコールは鳴りやまない。
何が彼や彼女を支えて、こんなに仕事をされているんだろう?
正直、そんな気持ちを持ってしまうほど、働いていた。
”奉仕”の心なんだろうなあ。
さてさて。
取り除いた”大きめのポリープ”。
悪性腫瘍が一部にできている可能性が大きくなるという”3㎝”に到達していた模様。
病理検査の結果は、一か月後に来てください、とのこと。
指定されたのは12月24日 9時~9時半。
「一年で一番の繁忙期なんですけど…。」