きのこの施設栽培は、おおよそ次のような流れになる。
1.菌床と呼ばれる培地を作る
2.殺菌
3.植菌
4.培養
5.芽出し
6.生育
7.収穫(と片付け)
8.パック詰め
菌床とは、自然界できのこが自生する木や土に代わって菌が繁殖できる培地のことである。
多くは、オガクズと言う木を粉々に粉砕して固めたものが使われる。
きのこの種類によって、ナラの木を始めとする広葉樹でなければならかったり、針葉樹でも代用できたりする。
そして違うのは培養にかかる期間。
45日のものもあれば、90日かかるものもある。
オガクズに菌を植えた後、一定の温度や湿度をかけてオガクズ中に菌が行き渡るようにする。
菌がきちんと充満すると、温度や光を当てることで、一気に芽が出て、ほぼすべてのきのこが10日間ほどで収穫できるようになる。
温度と湿度(水分)と換気(酸素が必要)と光によって、きのこは育つ。
舞茸の栽培施設は大きな棟を小分けにしている。
空調を効かせた小部屋に入ると、所狭しと車輪付きの棚が並んでおり、植菌された菌床がずらりと並べられていた。
時折、プシューッという音とともに霧が発生し、水分を定期的にオガクズに与えている。
天井にあるファンや空調機が、室内の温度によって自動で作動する。
「舞茸はこの部屋で、だいたい45日間おかれて、このビニールの中が真っ白になって菌がいきわたるのを待ちます。」
次の小部屋に案内されると、ちょうど収穫を待つ大きく育った舞茸たちが頭を垂れていた。
「舞茸の場合、菌がきちんと充満していれば、芽出しして10日間くらいで十分な大きさになります。」
「ちなみに黛さん。よくお客様に聞かれるんですが、この白い部分とひらひらの部分とどちらが美味しいんでしょう?」