柿の渋抜きの過程で、酸味も、感じられなくなる。
酸味成分が不溶化し、舌に感じなくなるわけだ。
柿はビタミンCが豊富にもかかわらず、酸っぱくないのには、渋抜きが関係しているのである。
ペクチンやビタミンCが豊富なため(レモン100gあたり50mg、甘柿は100gあたり70g、渋柿100gあたり55g)、日本では柿を食べれば、病気にならないということわざもあるくらい。
すなわち
”柿が赤くなれば、医者が青くなる”
ことわざにしては、かなり現代語っぽい。
同じような意味で、”大根時は医者いらず”ということわざもあり、こちらは、それらしい。
少し面白いのは、トマト版とりんご版も存在する。
青果業界に携わっている方なら、
”トマトが赤くなれば、医者が青くなる”とか
”りんごが赤くなれば、医者が青くなる”とか
耳にしたことがあるだろう。
これも不思議な言葉で、はるか昔、縄文時代から存在したといわれる柿と違い、
トマトは江戸時代、りんごは明治になって日本に導入されたもので、歴史が極めて浅く、ことわざにはなりづらいはずだ。
と思ったら、欧米圏のことわざの和訳のようである。
an apple a day keeps the doctor away.
a tomato a day keeps the doctor away.
直訳すれば、一日一玉のりんご(あるいはトマト)は医者を遠ざける=一日一つずつりんご(あるいはトマト)を食べれば、医者は不要である、になる。
気の利いた訳者が、”柿が赤くなれば、医者が青くなる”のことわざになぞらえたのであろう。
ちなみにりんごが先か、トマトが先か、と言えば、りんごに間違いない。
トマトはコロンブス以降の大航海時代に、西洋の文化圏に伝わった。
イタリア語では、トマトのことをポモドーロと言い、意味は、黄金のりんご。
どこかで混ざり合って、上記のような英語のことわざになったのだろうと思う。
いずれにせよ、トマトもりんごも柿も、体を整える栄養素が豊富なのである。
(ていうか、野菜くだもの、全部そうなのだけれど)