焼き場の朝は、早い。
5時56分の電車に乗り、銀座に向かう。
今は夏だから、もうかなり明るいが、これが冬であれば、星が見えているだろうし、もっとずっと寒いのだろう。
玄関では、三男が学校から持って帰ってきた、朝顔が、私を送りだしてくれた。
我が息子ながら、上手に花を咲かせている。
そういえば、3年生の次男が、ゆうべ、書いていたイラストもびっくりした。
プレゼント交換をするので、自分が大好きなものを書くことにしたのだという。
まさか、30年以上たって、自分の息子が孫悟空(子供時代らしい)を書くとは思わなかった。
銀座の百貨店の共同厨房の朝は早い。
6時半に着いたけれど、もうすでに、四店舗ほど稼働始めていて、せっせと仕込んでいる。
「おはようございます!」と挨拶をしながら、まずは、ご指導いただいた通り、スチームコンベクション専門のヒューズ(?)、電源を入れる。
スチームコンベクションに電源が入るまで、少し間があるからだ。
その次に、ブラストチラーの電源を入れ、-10度の設定である”運転1”を稼働させる。
洗ってあったダスターたちをまとめ、作業台の上をアルコール片手に噴き上げていく。
スチームコンベクションの電源をオンにし、スチーム→パワースチームを選択する。
始めは温度が34度くらいだが、これがだんだんと100度に上がっていく。
そうなる前に、ホテルパンにがっと野菜たちを並べたり、カットしたりしていく。
スチームにかける野菜は、おおよそ20種類くらい。
加熱したら、特に青物は色落ちを防ぐためにすぐにチラーに入れ込む。
そのほかの野菜は、粗熱をとってから、チラーに入れ込んでいく。
加熱に時間がかかるもの、そうでもないもの、ちょっとかかるもの、などに分けて、おおよそ3回~4回に分けてスチームは行う。
そのあと、グリル。
スチームコンベクションの設定においては、”コンビ”と言うらしい。
水と空気の熱で焼き上げる機能だそうで、220度まで上げて、これも、3~4回くらいに分けて焼き上げていく。
調味してから焼き上げるものも含めると、1~2回増える。
現在のラインナップで言うと、おろしあえやゴーヤの甘酢あんかけなどはこのタイミングで調味も行う。
コンビ220度の調理が一段落ついたら、庫内の温度をいったん下げ、最も時間がかかる、とうもろこしとポテトサラダ用のじゃがいもを100度のスチームで調理する。
この時間は、40分だ。
ちなみに、40分のうちの18分だけ、たまごも入れて、ゆで卵も作る。
6時30分くらいに厨房について、ここまでやるのが、だいたい9時くらい。
師匠たちは、7時に来て、9時よりも前に終了しているようなので、やっぱり手際が良い。