とうもろこしは、南北アメリカのいずれかが起源であると言われ、メキシコの古代遺跡からは、とうもろこしをかたどった装飾品も数多く出土し、種子も見つかっている。
学説としてはいくつかあるようだが、現在のメキシコの高地が原生地とする説が一番有力だそうだ。
ヨーロッパにとうもろこしを伝えたのは、コロンブスで、15世紀末の事である。
カリブ海に浮かぶキューバから、ヨーロッパに持ち込み、瞬く間に栽培が広がった。
じゃがいもと並び、人口爆発を迎えていたヨーロッパ諸国にて、食料を支えた。
日本へは、なんと16世紀にはポルトガル人を介して長崎に伝わっていた。
ポルトガル人が伝えたからか、当時は、とうもろこしではなく、南蛮黍(なんばんきび)と呼ばれた。
黍(きび)という名前が充てられたのは、それが日本で存在しているひえ・きび・あわの”きび”の黄色い実に似ていたからだそう。
”とうもろこし”という名称は、唐=中国の昔の王朝と、もろこし=唐土(もろこし)と呼ばれたコウリャン=たかきびを合わせたものだそうだが、現代語に訳せば、”中国中国”なので、なんだか違和感がある。
意味合い的には、先に伝わっていた唐土(もろこし)という植物=たかきびに、外国から来た=唐の、という接頭辞がついた単語で、”外国から来たたかきび”くらいのものだったそう。
ただ、当日伝わっていた品種は、硬粒種という穀物として、粉などに挽くもので、現在のようなとうもろこしではなかった。
江戸時代が終わり、明治時代に入って、農業のテコ入れが行われ、北海道の”開拓”が行われた時に、アメリカからとうもろこしの新しい品種が導入され、本格的に栽培されるようになる。