くだものの良い畑の三条件は、以下の通り。
1.日当たりが良いこと
2.水はけが良いこと
3.昼夜の気温差が大きいこと
住宅地の中ではあったけれど、建物とは十分に距離があり、周囲に遮るものがないので、日当たりは悪くない。
山の上の方が気温差は大きいけれど、青森なので緯度が高く、気温差はある。
でも、水はけが悪いのかあ、、と思った。
実の数も相当なっているし、”畑の力には限界があり、ならせすぎると、一つ一つの実は、良くならない”と永田から習ってきた。
「ちょっと分がりにくいかもしれないんだげど、樹のなっている列を高くしているんですよ。」と赤石さんが指さした。
「あ。本当だ!高畝になってる!これで、根元の水はけを良くしているんですね!」
「そう、そうなんですよ。」と興奮気味の私に対して、冷静に赤石さんは答えてくれた。
「ちょっと食べてみても良いですか?」
「ああ、どうぞ。」
「これ、良いですか?」
「枝の先が良いですよ。ああ、それ、それで大丈夫だと思います。」
ひとつ、つまんで食べてみた。
適度な酸味としっかりした甘み。
「あ、美味しい。」
数値的な確認もしたくて、糖度計で測ると、19.6度を示した。
「やった!」
百聞は一食に如かず。
赤石さんが小野さんの師匠たる所以に納得した。
「もうすぐ収穫しますね!?」
「いや、さどは、もう一週間置くかな。」
十分美味しかったけれど、ここからさらに1週間置くという。
これは楽しみだ。
「”さど”は、佐渡とかじゃなくて、”佐藤錦”のことですね!?」
「あ、なまっでるから…。」と、ちょっと笑ってくださった。
「それにしてもめっちゃなってますね。やっぱり水やりですか。でも潅水チューブとか無いですよね?」
「あ、上に、あります。」
良く見ると、天井のパイプに黒いチューブが走らせてあり、上から、水やりができるようになっていた。
「それと、さどは、結実性が弱いので、手で受粉はさせてます。この香夏錦(こうかにしき)の花粉をダチョウの毛のブラシにつけて、佐藤錦の花にこすりつけてます。」
なるほど、やっぱり手間がかかっているのだ。
後から聞いたことだが、実は、枝もだいぶ落としていて、一見、実のなりが多いように思ったけれど、樹一本に対する果実の数はやっぱり制限しているのだ。
一週間後、楽しみである。