「はい!畑、見たいです!」
側面は防虫と暴風のための細かい目のネットが張ってあり、上部は、雨を避けるため、ビニールが張ってあった。
太めの樹と、植えたばかりの細い樹と、いろいろ。
「だいぶ強めに、摘果してらっしゃいますね。」
「大粒になるようにしでるがらね。」
太めの樹でも、実のなりが少ない。
一節に3粒だけに制限して作る、と山形の東根の一級の農家さんに伺ったことがある。
紅秀峰と、花粉樹の紅さやか、佐藤錦、黄色の月山錦、そしてもう一品種。
紅さやかは、収穫が完了。
紅秀峰は、少し実のなりが少ないかな?と思ったけれど、佐藤錦は明らかに少なく、月山錦はほとんどなっていない。。。
「30粒ぐらいだな…。」と小野さんの旦那さんがぽつり。
一本の大きな木に、枝がもちろん分かれていて、その枝一本に1~2粒くらい。
「そごに杉林があって、その花粉が悪さをしでるんじゃないが?どが、やませの影響があるとかいわれるんだげどね。」
どうも、小野さんの畑は紅秀峰が割ときちんとなっていて、佐藤錦や月山錦は、畑の条件に合っていないらしい。
ただ、いくつか糖度を計測すると、20度前後はあった。
「紅秀峰は、まだここから大ぎぐなるからね。」
「そうなんですか!?」
佐藤錦と紅秀峰は、だいたい1週間から10日間ほど、収穫時期に差がある。
さらに玉が大きくなるなんて、楽しみで仕方ない。
そして、新品種”ジュノハート”。
紅秀峰にサミットを掛け合わせた青森オリジナルの新品種で、3本植えてあった。
「これはお父さんの!あんまりだな。こっちが私の!」
畑の真ん中より少し奥に、順調に生育しているジュノハートがあった。
大粒になりやすく、色も濃い。
直径3㎝を超えると”ハートビート”という上のランクに選果され、高値で取引されるという品種。
「食べてみる?まだ少し早いんだげどな。」
迷わず、食べる。
酸味が少なく、しっかりめの歯ごたえ(固いわけではない)で、食べ応えがある。
これは楽しみ。
ただ、やっぱり気になることがあった。
「でも、、やっぱりこの数量だと、なかなか分けていただくのはむつかしそうですね…?」
「あ、そうそう、私なんか、親せきや友達に見でもらったり分げでるぐらいだがら。お父さんがこれから連れてくから、お師匠さんのところ。初めから紹介するづもりだったから。」
そうそう、電話でもそう話していたっけ。
それでも小野さんと、と思っていたけれど、現地を見て、納得した。
「じゃ、行こう。」
「はい!」
小野さんの旦那さんの軽トラの隣に乗って、お師匠さんのさくらんぼ畑へ!