上村さんの事務所から数十メートルのところに、ブルーベリーの立派なハウスはあった。
「お!離床じゃないですか!」
離床(りどこ)とは、地面の土から離し、水分や肥料をコントロールして栽培する方法のこと。
大きな鉢に、潅水用のチューブが二本刺さっており、ブルーベリーが気持ちよく育っていた。
ビニールハウスの中で育てるので、本来の旬よりもやや早く育つのと、水分をシャットアウトすることができるので、
糖度が上がりやすい。
粒がやたら大きい。
「オーストラリアの品種で、”ユーリカ”と”OPI(オーピーアイ)”という品種です。」と上村さん。
オーストラリア生まれの、いずれも最新の品種。
栽培や出荷、事務の担当者でもある田中さんが続けて説明してくださる。
「この裏側(=枝に付いた部分)が緑のものはまだ未熟。紫色に全体が染まったら、食べごろです。」
ブルーム(=白い粉=植物が自分を守るために出すワックス)がとてもきれいに入っており、当たり前だけれど、鮮度が高い。
「触ったら、もう、収穫してくださいね。」と念を押された。
一度、触ってブルームがとれてしまうと、そこからやっぱり傷みやすくなるからだ。
私が触ったものは、まだ少し未熟。
少々酸味があった。
ブルーベリーは、枝ごとにも味が変わる。
年数を経ると味が落ち着いてくる。
「良いですね、5月のブルーベリー。ちょうど、国産のくだものが少なくなるころなんで、うれしいです。」
◎販売中~(2022年5月5日 現在)
■ブルーベリー 静岡県産 1p 972円(税込)
https://www.shop-ryokuken.com/SHOP/433122.html
5~6月は、日本のくだものが少なくなる。
晩生の柑橘と、びわなどがあるが、桃とかいちごとか、みかん、りんごのような主力となるくだものが少なくなるのだ。
「そう、そうなんですよ。そこを狙ってます。」
今でこそ、たくさんの従業員さんに支えられ、弟さんも加わって法人化もしているけれど、9年前は、それこそ一人、一本の鍬で農業を始めたという。
私も見習わなければ。
ひとしきりお話しした後、「次また行くの?」と声をかけられた。
「あと2件か3件。」
「へえ、大変だ。」
「でも、めっちゃ楽しいです。」
久しぶりの産地確認。
色々なことが知れて、やっぱり楽しい。
車にまた乗って、次の農家さんに向かった。