板橋区の産業振興社が主催する講演会を聞いた。
講演するのは、石坂産業(株)の二代目女性社長さん。
石坂産業さんは、埼玉にある産業廃棄物処理会社※1だ。
冒頭、フィリピンにあるごみ処理場の画像が流れ、石坂さんの解説に、ぐっと引き付けられた。
「フィリピンではごみを燃やすことができない、法律で。※2」
フィリピンではごみは集積場に集まってくるが、そのまま埋め立てる。
呼吸をするたびに、ハエのような虫が口や鼻に飛び込んできて、歩くスペースもないほど、ウジ虫が湧いている、とのこと。
「私どもは、産業廃棄物処理の会社だけれど、メーカーさんや会社さんには、捨てるところまでデザインしてほしい。」
Design for waste※3
捨てるところまで考えて設計せよ。
ゴミ処理業者としては、人間にとって便利になればなるほど、ゴミ処理はしづらくなっているという。
思い浮かべるものがあった。
缶だ。
以前は缶の内側も手伝ったけれど、錆びないように、現在はコーティングされている。
そうすると、おそらくリサイクルはしづらくなる。
そんな環境下で、石坂産業さんに運び込まれるごみのリサイクル率は98%。
地元でのダイオキシン発生騒動の最中、石坂産業さんは、不分別のごみ焼却にも対応した焼却炉を建設したばかりだったのに、
焼却をやめ、建築材のリサイクルに特化した。
現代は建て替えが多く、取り壊した建築材のごみが多く出る。
それが運び込まれ、再度、原料にするのだ。
・コンクリートは、破砕し、再びコンクリート原料に。
・木材は、裁断し、チップとして合板や再生紙の原料に。
・プラスティックは溶解し、固形燃料に。
こうして、自分の仕事に誇りを持てるようにしていく。
新卒の人にも「この会社で働きたい!」と思ってもらえるようにするのが、石坂さんが社長になったときに思ったことだという。
ダイオキシン騒動(実は、風評であり、焼却炉を改良していたので、発生していなかった)で、
地域住民から”ごみ処理場は出てけ”とデモを受けたときに強く思ったのが
「地域から愛される、必要とされる企業でなければならない。」ということ。
情熱をもって語ってくださるので、いちいち頷いてしまう。
その思いの為に取り組んだのが、”里山復活”。
元々、工場のある敷地は、里山だったけれど、いつの間にか雑木林となり、気が付けば、ゴミの不法投棄の山となっていた。
石坂産業さんはボランティアで、そのごみを片付け、なぜ、ゴミが不法投棄されるか、理由を考えた。
ーそれは、人がいない雑木林だから。
じゃあ、整備しよう、と地権者を説明し、土地を譲ってもらい、公園として、ファミリーで楽しめる場所にしてしまった。
今や、有機JAS認定の畑もあり、それを食べることができるレストランも併設し、次は温泉も掘り当てようとしている。
売上を稼ぐ工場部分は、敷地の20%しかないというから、本当にすごいと思う。
石坂産業さんの、里山計画のHPはこちら↓
https://santome-community.com/
◎捨てるところまで考えてデザインする。
◎企業活動を行う上で出るゴミのリサイクル。
◎愛される、必要とされる企業に。
社員教育だったり、アウター&インナーへのブランディング、六方良しの経営
(売り手良し、買い手良し、作り手良し、世間良し、地球良し、未来良し)などいくつかキーワードもあったけれど、
以上の三つを私も考えていきたい。
そして、工場見学も積極的に受け付けているというので、今度、ぜひ訪問してみたい。
※1産業廃棄物処理には変わらないけれど、”すべてのゴミを資源にする”と再定義している(と思う)。
※2まったく燃やしてはいけないのかと思ったけれど、適切な焼却施設であれば可能。
ただ、法律通りのごみ捨てがされていないため、燃やされず、そのままのごみ山がある。
※3design for waste と私のメモには書いてあったけれど、zero waste design と石坂作業さんのHPにはあったので、間違っているかも。。。
石坂産業株式会社のHPはこちら↓
https://ishizaka-group.co.jp/