あれから、11年。
14時46分。
私はあの時、銀座にあった仮事務所に、上司や同僚と一緒にいた。
5階の部屋から、一目散に階段を降り、外に出たのを覚えている。
それから、テレビに映し出された津波の様子は、、、映画の中だけで起きる様子だと、目を疑った。
私の住む地区は、液状化も激しかったし、地面も裂け、断水は10日間続いた。
たくさんの人の命も失われた。
そんな思いもあるから、今日は黙とうの時間は黙とうしたいな、と思っていた。
が、今日は店頭の日。
館内に「間もなく東日本大震災から11年が経ちます。15秒間、黙とうをささげたいと思います。可能な限り、ご一緒にお願いします。」とアナウンスが流れた。
BGMが止まり、静けさが流れた。
さ、と思ったけれど、「中華サラダ100gとこれとこれを頂戴。」とお客様からご注文を頂き、断念。
”今はちょっと、ちょっとだけ黙とうしませんか?”
なんて余計なことを言いたかったけれど、視線が合わず、任務を遂行した。
「ありがとうございます、またどうぞお越しくださいませ。」
お客様をお見送りした後、しばらく目をつむり、自分なりに黙とうを捧げた。
世界では、まだ悲劇が現在進行形で起こっているから、少し嫌になるけれど、自分のできることを一つ一つ。