「うわあ…」
堀田さんの大きな大きなトレーラーの後を、パッソで着いていった。
ああ、その道、入れるんだ、とか、おお、ここ一発で曲がれるんだ…、と感心しながらー。
トレーラーから降りてきた堀田さん。
「おはようございます。改めまして。寝坊しちゃったんですか?」とやや赤い顔で問われた。
「すみません、、、」
「いやあ、でも僕も、どうやら二日酔いです。なんかさっきから調子悪いな、と思ったら、これは二日良いですね。。。」と笑った。
「ここは実家でして、この周りに畑の半分、40ヘクタールくらいかな、があって、あっちの山の中腹、あの辺りに、また38ヘクタールくらい。そして、またこっちの方向の少し離れたところに、10ヘクタールくらいの畑があって、全部で90ヘクタールくらいあります。」
「90ヘクタール…。ひゃあ~」
「このトラックも、荷台に重機を乗せるためのもので、この大きさとクレーンが必要なんですよね。僕嫌いなんですよ、トラクターで道路をもたもた走るの。」
トラック、いやさトレーラーには荷台が付いており、クレーンはその荷台に乗せた重機=トラクターなどの積み下ろしに使うらしい。
トレーラーの周りにも3台ほどの重機があり、耕耘や、収穫をするときのトラクターのアタッチメントらしい。
「これは両翼のこの部分が3段階で広がります。まさにトランスフォームですよ。だから、4.5mの幅を一気に耕耘できます。」
重機の物置小屋になっているという倉庫と、1ヘクタールの面積がある鉄骨のビニールハウスにも案内された。
所狭しと、重機が並んでいる。
どう大きいかというと、、タイヤがすでに私の背丈(165㎝)より大きいのだ。
豆のコンバインも見せてもらった。
「ここでガーっと刈り取って、刈り取られた大豆がここで脱穀されて、さやも割って、豆だけになって、ここにたまっていきます。」
「あ、そんな4段階くらいの作業が、一気に、しかも刈り取りながらできるんですか!?」
昔であれば、手に鎌を持って刈り取り、足踏みの脱穀機にかけて、さらにさやを割って豆を取り出す作業が一つの機械でできるわけだ。
「だから、おひとりで、90ヘクタールもできるんですね。」
「はい、そうです。水播きだったり、防除のトラクターも入れて、15台はあります。これとこれは同じトラクターですが、こっちが私のでこっちが嫁のです。」
「ひゃ~。しかも、全部日本のものではないですね…!」
「あ、そうですよ、日本のメーカーで、このサイズはないです。全部、アメリカか、ドイツ、ヨーロッパのものが多いかな。」
「ひゃ~。」
規模の大きさに度肝を抜かれた。
「で、このハウスを片付けて、ひよこ豆とレンズマメを植えますから。」
「あ、やっぱりハウスですか。」
「はい、あの、中東の乾燥しているところで生まれ育った豆なんで、日本の雨とか湿度が良くないらしいんですよ。だから雨をシャットアウトするために、ハウスの中で作ります。」
灌水の設備も来ており、鉄骨だし、立派な施設だ。
う~ん、これはもしかして、ピーマンとかトマトも、ここで作れるんじゃ…?
と頭をよぎったところで、
「あ、奥さんだ。」と堀田さんがつぶやいた。
昨日、焼肉屋さんに連れて行ってくださった奥様が軽トラに颯爽と乗って、畑に向かって行っていた。
奥様は、もともと教師だったそうだ。
そういえば、うちの家族に似たオーラがある。
私の親戚には、教師が多い。
「花豆の収穫ですね。行ってみますか?」
「はい!」
「歩きでも良いですか?あっちの端までけっこうまだありますけど…。」
「あ、全然大丈夫です!」