「そろそろ6時くらいかな…。」
まだまだ暗い部屋で、起きようと時計を見た。
私は目を疑った。
9時47分。。。
しまった!
寝坊だ…!
さーっと言い訳を並べる自分が、そこにいた。
色んな人の話を聞いて、真っ暗な道を4時間弱走って、自分が思うより疲れていたのかもしれない!!
お酒も飲んでしまった!
カーテンも閉めて寝てしまった!
やばーい!
「何時でも良いとは言ってくださっていたけれど、これはやばい。」
慌てて着替えて、ドアを開けると、昨日は誰もいなかったのに、何人か人がいて、私を見て、ぎょっとして笑っていた。
私の寝ぐせはひどい…。
顔を洗って、寝ぐせを直し、荷物をまとめ、鍵を無人のロビーに返して、レンタカーに乗った。
斜里町の町中を抜けて、堀田さんの畑の、おそらく近くに来た。
カーナビでは、正確な場所まで導けなかった。
携帯を鳴らし、正直に謝った…。
しかし、なんで、起きてすぐ電話しなかったのだろう、まったく社会人22年目にもなって、、、と再び、色んな後悔をしながら。
電話の向こうの堀田さんは優しかった。
「あ、いらっしゃいました~? 時間? 全然大丈夫ですよ。周りに何が見えますか?」
「周り…?」
町中を抜けた斜里町は、まっすぐな道路と、ほぼ収穫が終わった畑が一面に広がっており、目印になるようなものが、今一つない…。
「青い屋根の建物と、赤い屋根の家があります。」
「…わかりました、じゃあ、そのまままっすぐ行って、林を超えたところを右に曲がって待っていてください。今、近くにいないので、そうですねえ。。15分くらい後に着きますから。」
ええ~それで分かるのか…ていうか堀田さん、怒ったら絶対怖い、大きな体なのに、優しいな、、、ひよこ豆とレンズマメ作ってくださると言うし…。
十勝よりまたさらに大きな大きな畑と美しい斜里岳(しゃりだけ)を眺めながら、堀田さんもこの大自然に囲まれて、そういう風になったのかな、なんて想像していた。
どのくらい、道路の脇で待っていただろうか、しばらくして電話が鳴った。
「堀田です。今、後ろ、見えますか? クレーンが付いている車が、僕ですんで、付いてきてください。」
まだ、だいぶ後ろだったけれど、充分に視界にとらえることができる大きさの車と言うか、トラックというか、トレーラー…。
「なんだ、あれ、ドでかい…。」